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「お先に失礼します。お疲れ様でした!」
ジャケットを片手に会社を出て深呼吸。
今週がやっと終わった。
大学を卒業して広告代理店に就職して早2年が経つ。
仕事は楽しいし、先輩達は皆優しくて恵まれてると思うけど、毎日起きて出勤して帰って寝る生活。
お金を稼ぐって大変だなぁ…なんて溜息をついた。
−
地元の駅に着き、ふと目に入った見覚えのある制服を着た高校生。
うちの高校の制服だ…
学生時代、思い返せば毎日が新鮮でキラキラしていた。
侑李仕事終わった?
侑李もう飲んでるから早く来てね
今日は従兄弟のちーちゃんと珍しく飲みの約束をした。
小学校から高校までずっと一緒で家も近所で兄妹みたいな関係。歳は同じだけど。
地元の居酒屋に足を運ぶ。
−
侑李「…彼女いるって、知ってた?」
カウンター席の隣に座ると同時に話し始めたちーちゃん。
手には空の状態の大ジョッキ。
何杯目だろ……顔がほんのり赤い。
「すみません、ビール2つ下さい。」
質問には答えず、彼の分もお酒も注文した。
侑李「とりあえずビールって…可愛げないなぁ」
カウンターに突っ伏しながら空のビールジョッキの後ろで、私に聞こえるか聞こえないかの音量でぼやいた。
「ちーちゃんに可愛いと思ってもらわなくていいし…」
可愛い振る舞いが出来ない私。 ジョッキに頭を隠して可愛く睨みつけてくる小さな酔っ払いを睨み返す。
男なのに昔から可愛いルックスとかあざとい言動をするちーちゃんは私にとっては小悪魔のような姉…いや、兄。
侑李「ねぇ、さっきの話…スルーしてる?
この記事読んでないの?」
そう言って自分のスマホ画面をこっちに向けてきた。
そこには芸能ニュースが表示されていた。
『交際順調。数年前から同棲か。女優 竹村ミナ・若手俳優 有岡大貴』
スマホ越しに私の反応を見ている彼と目があった。
「……知ってるよ。 大ちゃん噂の彼女と順調なんだね」
侑李「こんな記事書かれちゃってさ…なんかもうキラキラした芸能人って感じ?」
スマホを適当にスクロールして流し読みしてる。 どこまで本当なんだか…て馬鹿にしてる。
“大ちゃん” こと、有岡大貴は私とちーちゃんの幼馴染。
高校の時にスカウトされて卒業と同時に本格的に芸能活動を始めた。
そんな彼に……
私はあの頃からずっと
恋をしている。
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作者名:もちもち | 作成日時:2019年7月19日 0時