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思っていたところと違う。
ショパンのノクターンがゆったりと流れるこの空間には、私と彼の二人だけ。
グラスに注がれた白ワインを口に含むと甘い香りが広がる。
目の前にはソウルの夜景が広がり、満面の笑みで見つめるジョングクがいた。
JK「どうしたの、浮かない顔して。もしかして、高いところ苦手だった?」
やはりこの人は違う。どうやら私は彼が世界的グループの一員であることを忘れていたらしい。
「違うの。思っていたところと違って…高層ビルの最上階で、しかもこんな高級感漂うお部屋で…私は普通にパスタを食べに来たと思ってたので…」
こんなことなら、もう少しちゃんとした服装で来ればよかったと手にしたグラスをテーブルに置いた。
「こんなところ、初めてで慣れなくて…その、お作法とかわからない」
JK「ごめんごめん、気を遣わせちゃったね。畏まらなくていいよ、いつも通りのAでいて。」
そう言って彼は外に目をやった。
JK「本当は、普通に街でご飯食べてデートしたかったんだけどそうもいかなくて…こういう所でしか、安心してAと時間を過ごせないんだよ」
夜景を見つめる彼の瞳が、少しだけ寂しそうにみえた。
決して今の境遇を憂いているわけではないが、やはりプライベートは欲しいのだろう。
自分と同じ年頃の子が街で楽しそうに友人や恋人、家族といるのを見て、羨ましいと思うのだろう。
「そうよね。私こそ、気を遣わせちゃったね。まあ、あなたと一緒に居られるなら何も文句は無いわ」
JK「Aの、そういう肝が座っている所好きだよ。」
彼と話していくうちに先ほどまでの緊張が緩み、リラックスした雰囲気で食事を楽しむことができた。
「このパスタ、とっても美味しい!ジョングク、ここまた来たいわ!」
私にとって、このお店のパスタは今まで味わったことのない美味しさだった。
前菜やらで結構お腹いっぱいになったと思ったが、大好物は別腹らしい。
JK「本当に美味しそうに食べるんだね。」
もくもくと食べていた私を、ジョングクは満足そうに眺めていた。
「だって、本当に美味しいんだもん」
ジョングクはすでにパスタを平らげており、新たに注文したシャンパンを飲んでいた。
「あ、ごめんなさい、待たせちゃって」
JK「ああ、気にしないでゆっくり食べて。俺は食べているAを見るのが楽しいから」
そんなに見られたら食べにくいじゃないと思いながら、私はクリームを絡ませたパスタに再び口をつけた。
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あーちゃん(プロフ) - とりま最高 (2019年10月10日 16時) (レス) id: 578ed0c715 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 愛(サランさん» ありがとうございますm(_ _)m 次回作もお楽しみに…笑。 (2019年3月21日 16時) (レス) id: 6fb3a64d96 (このIDを非表示/違反報告)
愛(サラン(プロフ) - お、おわり、、 めちゃくちゃ面白かったです!ありがとうございました!次もあるなら待ってます!お疲れ様でした (2019年3月21日 14時) (レス) id: bbbfbb5774 (このIDを非表示/違反報告)
つき - 凄い面白いです!更新頑張って下さい! (2018年12月17日 15時) (レス) id: e9fb8ac079 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - ちあさん» ありがとうございます。頑張ります♪ (2018年12月6日 14時) (レス) id: 62b0c80745 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆき | 作成日時:2018年9月14日 15時