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「みなさん、お疲れでなければ、外で花火をしませんか?」
Aの声かけに、酒でほろ酔いになっていた一同が目を光らせた。
RM「花火って、日本の夏の風物詩だよね?韓国にも売ってるの?」
ナムジュンの問いに、「アマゾンで買ったんですよ!」とAは少し自慢げに答えた。
JH「こういう所で花火ってやったことないから、良いね!」
TH「楽しそう!やろうー!」
「では皆さん、中庭へ行っててくださいね」
Aはそう言って食事処から去っていった。
ヒョン達が中庭で待っている間、俺はAを探しに館内をうろうろしていた。
おそらくここだろうと、明かりがついている部屋をノックすると、欲していた声が返ってきた。
JK「A、何か手伝おうか?」
「あ、ジョングク…っきゃ!」
俺の声に振り返ったAは、乗っていた台の上から足を滑らせた。
「い…たくない?」
JK「大丈夫?」
転びそうになったAを、とっさに抱きとめることができたのだが、バランスが取らずにそのまま倒れこんでしまった。
自分が押し倒しているような状態だと気づいたAは、顔を赤らめて体を起こそうとした。
「だーめ。」
離れようとした彼女の手を引っ張り、俺は強引にその身を抱きしめた。
体が密着して、変に意識してしまいそうになる。
彼女の、ほのかに香るシャンプーの匂いが鼻をかすめた。
「ジョングク、ごめんね!助けてくれてありがとう…もう大丈夫だよ」
俺の胸に顔を埋める彼女の髪を撫でながら、俺は話しかけた。
JK「A、俺たちが来たって宣伝すれば、またお客さんたくさん来てくれるんじゃない?」
俺に、俺たちにできる事はこれしかないと思っての発言だった。
しかし、彼女は悲しそうな表情で俺を見つめた。
「ありがとう…でも、そんなことをしたら、もう二度とあなた達に会えなくなっちゃうわ。私は、皆んなを売ってまでここを再興させたいとは思わないよ。だって、ジョングクもみんなも、私達にとっては大切なお客様なんだから。」
俺は、彼女の一途な思いに心を打たれた。
本当に、彼女はこの旅館を、ここを訪れる人のことを愛しているんだ。
俺達に対しても変わらず、BTSという肩書き抜きに大事にしてくれている。
ハプニングで足止めを食らった俺たちに、何か一つでも心に残るおもてなしをしようと一生懸命な姿に、心を掴まれない人がどこにいるのだろう。
俺は、彼女のことが愛しくてたまらず「ごめんね」と言って、その小さな体をぎゅっと抱きしめた。
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あーちゃん(プロフ) - とりま最高 (2019年10月10日 16時) (レス) id: 578ed0c715 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 愛(サランさん» ありがとうございますm(_ _)m 次回作もお楽しみに…笑。 (2019年3月21日 16時) (レス) id: 6fb3a64d96 (このIDを非表示/違反報告)
愛(サラン(プロフ) - お、おわり、、 めちゃくちゃ面白かったです!ありがとうございました!次もあるなら待ってます!お疲れ様でした (2019年3月21日 14時) (レス) id: bbbfbb5774 (このIDを非表示/違反報告)
つき - 凄い面白いです!更新頑張って下さい! (2018年12月17日 15時) (レス) id: e9fb8ac079 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - ちあさん» ありがとうございます。頑張ります♪ (2018年12月6日 14時) (レス) id: 62b0c80745 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆき | 作成日時:2018年9月14日 15時