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「A、もう俺は上がるけど、あんまり飲みすぎるなよ」
「はーい!明日もよろしくね!」
片付けも終わり明日の準備も一通りしたレンは、歩いて10分の家に帰って行った。
外は先ほどの土砂降りが一転、シトシトと雨が降るだけで静かな夜となっていた。
土砂崩れにあったトンネルの工事は、明日から開始するだろう。
時計の針は10時を指していた。
まだ遅い時間ではないが、久しぶりのお客様に嬉しくて舞い上がった分疲れがどっときた気分だった。
「少しだけ飲んで、お風呂はいって寝よう」
彼らは、私でも知っている有名グループだけど、とても気さくに話しかけてくれて…
こう思ったらいけないかもしれないけど、なんだか友達になれた気分だった。
「本当に、ここはいい巡り合わせをくれるね、お母さん。」
『葉月を訪れるお客様は、皆とても優しくて素敵な方々なのよ。どんなに気難しい方でも、ここの空気が心をほぐしてくれるの』
母がいつしか言っていた言葉を、ふと思い出した。
JM「あ、Aちゃーん!待ってたよ!」
頬を少し赤くしたジミンが手招きをした。
「お待たせしました。あ、これうちの板前長からの差し入れです。」
お酒のお供をテーブルに並べて、自分用のお酒を手元に置いた。
「地酒は強くて飲めないので、いつもこのお酒を飲んでいるんです。うちの仲居さんが作ってくださった梅酒で、美味しいんですよ。」
飲んでみますか、となぜかずっと私の手を握っているジョングクさん声をかけた。
彼は無言で頷くと私のグラスに口をつけて美味しいと言った後、「ねえ」と話しかけた。
JK「Aさんはさ、いくつなの?」
「えーっと、先週21歳になりました」
JM「じゃあ、ジョングクと同じ歳だね。誕生日いつだったの?」
「8月8日です。実はこの旅館の名前も、私が生まれた月の和名からきているんですよ」
誕生日は、いつものように旅館のメンバーからささやかなお祝いをしてもらった。
母からは、ソウルの病院におりなかなか会いに行けないので電話でおめでとうと言ってもらえた。
それだけで、私はすごく幸せだった。
JK「お母さんから、とても愛されているんだね」
そう言われて、私はなんだか照れ臭くなった。
JK「同じ歳だから、Aって呼んでもいい?俺のことも、ジョングクって呼んでほしい」
お客様からのお願いだと思ってと言われたら、聞かないわけにもいかないじゃない。
「ふふ、困った人だこと…ジョングク、よろしくね」
私は、ずっと握られている彼の手を握り返した。
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あーちゃん(プロフ) - とりま最高 (2019年10月10日 16時) (レス) id: 578ed0c715 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 愛(サランさん» ありがとうございますm(_ _)m 次回作もお楽しみに…笑。 (2019年3月21日 16時) (レス) id: 6fb3a64d96 (このIDを非表示/違反報告)
愛(サラン(プロフ) - お、おわり、、 めちゃくちゃ面白かったです!ありがとうございました!次もあるなら待ってます!お疲れ様でした (2019年3月21日 14時) (レス) id: bbbfbb5774 (このIDを非表示/違反報告)
つき - 凄い面白いです!更新頑張って下さい! (2018年12月17日 15時) (レス) id: e9fb8ac079 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - ちあさん» ありがとうございます。頑張ります♪ (2018年12月6日 14時) (レス) id: 62b0c80745 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆき | 作成日時:2018年9月14日 15時