私のストーカー事情。 (ページ1)

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＃０１ページ1

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コツ……コツ………。

バイト帰りの暗い夜道。

今日もまた、後ろから聞こえる足音。

歩幅を保って、合わせてゆっくりと歩いてきて、

私が止まると、シン…と静まる。

もう何ヶ月経ったんだろう、

彼に " ストーカー " されるようになってから。

｢……………っ、ふぅ……｣

すっ、と息を吸って、思い切り地面を踏み込む。

陸上の経験を活かして、家まで猛ダッシュで走って逃げた。

こんなことしても、意味無いのなんか分かってるけど、

ハァハァと上がる息のまま、後ろを振り返ると、いつも絶対に見当たらないから、

少しだけ気分が和らぐ気がして。

いつもこうやって、走って帰っていく。

｢…もう、やめて…。｣

彼は付いてくるだけで、何もしてこない。

でも、それはそれで怖くて仕方なくて。

何を考えて付いてきているのか、

何を考えて走っている私を見ているのか、

もう、既に家のことを知っているのか。

なんて考えが、グルグルと頭を支配して。

玄関でうずくまっていると、

ふわっ、と柔らかいタオルに包まれた。

｢……おかえり、A。

バイトお疲れ様。｣

｢っ、海ちゃん……！

なんでおんの！！！｣

タオルで優しく肌を撫でながら、ニコって笑ってくれる彼は、髙橋海人くん。

去年私の高校に引っ越してきて、初めて話してからどんどん意気投合。

そして2か月前からお付き合いしている、まぁ、彼氏ってやつ。笑

海｢今日、ママさん仕事って言ってたじゃん。

だから、ご飯作って待っておりました！……へへ笑｣

なんて、キラキラと眩しく笑う。

家庭的で、優しくて、男らしくて、私なんかにはもったいないくらい完璧な人。

｢…もう…大好き…！！｣

海｢あははっ、とりあえず着替えといで？｣

｢はーい！｣

そんな海ちゃんのおかげで、ストーカーの恐怖なんて消え去った。

この時、もし私が海ちゃんにストーカーのことを相談したら、

もっと早く、私は悪者の存在に気づいていたのかもしれない。

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