38話 ぬくもり ページ41
あたたかい。包まれるようなあたたかいものが頭に触れる。それは、Aの大好きなぬくもり。目を開くと、目の前にはあの頃の兄貴がオレの頭を撫でていた。Aの心に様々なモノが込み上げてくる。シンイチロー、と名前を呼べば屈託のないいつもの笑顔。
『シンイチロー…オレ、これでよかった?』
自分の選択が間違っている時、すぐに正しい道に戻してくれた兄貴はもういない。己で正さなければいけない不安と孤独に、時折目の前が真っ暗になることがある。オレは、こんなにも弱い。沈みゆく気持ちを察するかのように、シンイチローはAの両方の頬を叩く。突然の痛覚と驚きに声を上げるが、すぐに優しく頬を撫でてくる。
シ「A!オマエはオレの自慢の弟だ!」
にかっと笑顔を向けてくる兄貴に、Aは黒曜石のような大きな瞳に光が灯るのと同時に、目からポロポロと涙が零れ落ちる。そんなAの涙をすくい、またその大きな手を頭の上に乗せる。
シ「ほら、万次郎達が待ってるぞ」
その言葉と共に、次に飛び込んできたのは真っ白な天井。清潔感のある部屋独特の匂いが鼻腔をくすぐる。己の左手が、何かあたたかいものに触れている事に気付き目を向ければ、頬に涙を流した痕跡がみられる妹の姿が。
『(そうか、オレ…刺されたんだっけ…)』
どれくらい時間が経ったのかは分からないが、窓の外は黄金色をしていた。エマごめんな…とそっと頭を撫でてやれば、起こしてしまったのか数回瞬きをした後、Aと目が合う。
エ「お兄ちゃん……?」
『うん』
エ「〜〜ッお兄ちゃああああん!!」
堰を切ったように泣き出し抱きしめてくるエマの頭を撫でる。良かった!と何度も泣きながら言う妹に居た堪れない気持ちになりごめんな…と謝れば、バッと離れた後怒った表情になる。「謝るなら心配かけさせるような事しないで!」…ごもっとも過ぎて何も言えません。今マイキー達もいるから呼んでくるね!と颯爽と病室を後にするエマ。返事をする間もなく出て行ったエマに苦笑いを浮かべる。
どうにか上半身を起こすが、かなり腹に響いたのでその状態のまま窓の外を眺めていると開くドアの音。えらくはやいエマの登場に思考を巡らせながら、振り向く。
マ「A……?」
『……万次郎』
そこにいたのは、唯一無二の片割れだった。
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比嘉槐 - なんか読んだことあるなと思ったら以前読ませて頂いた作品でした(*´∇`*)とても面白いです!これからも応援してます╰(*´︶`*)╯♡ (11月28日 15時) (レス) @page1 id: 0ffcd0578b (このIDを非表示/違反報告)
ただのバカです - お久しぶりっス!最近は来れなくてすいません!ハイキューの夢小説の方を見ていまして、東京リベンジジャーズもたまに見てるんですけど、タイトルを忘れてしまって、頑張って探したらあったので、すぐさまコメントしましたっス!続き楽しみに待ってます!! (2022年2月13日 23時) (レス) @page24 id: acf5fa610c (このIDを非表示/違反報告)
竜蘭(`・ω・´) - まっぽさん» タイトルは同じじゃないですよ!!マイキーのドッペルゲンガーです!!設定とか全然違います!!このお話は兄弟ですけど、マイキーのドッペルゲンガーというお話は兄弟じゃないんです!!うるさくてごめんなさい (2021年12月24日 7時) (レス) @page2 id: 784883b1f4 (このIDを非表示/違反報告)
まっぽ(プロフ) - 蓮さん» 蓮さんコメントありがとうございます!それって占ツクでですかね?もしタイトルにAnotherがついていて梵天軸の話だったら私の作品です💦 (2021年12月20日 0時) (レス) id: 1847723ecb (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - この作品に似たような作品が作られてますよ💦同じタイトルで内容も似ています (2021年12月19日 21時) (レス) id: 1abcf988f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まっぽ | 作成日時:2021年7月14日 3時