もう1人のマイキー【東卍】

32話 clear…？ ページ35

タケミチside

つい数時間前に言われた言葉が脳内を反芻する。場地くんを戻せなかった今、オレがすべき最善の策は、マイキーくんの双子であるAくんを止めること。彼を止めれば、結果がどうであれ、まず未来は変わる。決意を新たに、ぐっと拳に力がこもる。



タ「絶対に救う…！」


『誰を？』



突然背後から現れた人物に驚き、ウワア！？と大声を出し立ち上がるがそのまま足を滑らせ地面とぶつかる。途端笑い声を響かせたのは、約束をしていたA。彼はケラケラ笑いながらどうやったらそこで転べるんだよ！と言いながら手を差し伸べてくれた。すみません…と言いながら差し伸べられた手を掴めば、ぐいっと力強く引っ張られる。マイキーくんといいAくんといい、この小さな体のどこにこれほどの力があるのか…やっぱり鍛え方が違うのかな…自分の腹筋のふの字もない腹をさすれば、腹減ったの？と声をかけられ現実へと戻るタケミチ。



タ「あっ！Aくん！来てくれてありがとうございます！」


『いーよ、暇してたし。で、話って何？』


タ「えと…実はAくんにお願いがあるんです」



お願い？と言いながら首を傾げるA。ごくり、と生唾を飲み込み、タケミチは口を開いた。



タ「明日はずっと家から出ないでもらえますか！？」


『…はぁ？』



なんだそれ、と訝しむような顔をするAに、そりゃそういう反応になるよな〜！と己の策の浅はかさにもうすでに後悔をし始める。何よりこの人はマイキーくんと同じく、誰かに指図されるのが嫌いな人種。きっとNOという一言で打ち砕いてしまうに違いない



『いーよ』


タ「ッですよね〜！変な事言っちまってホントにすみま………へ？」


『というかそもそも明日はエマと家でお菓子作る予定だったし』



これオレにとっては重大な任務だから！と声を大にして話すAだが、まさかの予想外の返答に驚き空いた口が塞がらない。この際エマちゃんと家でお菓子を作るというパワーワードは頭の端っこに置いておこう。タケミっちも来る？と嬉しそうな顔で言われれば、はい！と即答しそうになったが明日は決戦の日。用事があると伝えれば、そっか残念と一言。



『話それだけなら腹減ったし帰るわ〜』



そういい踵を返していったAくんの背中にお礼を言う。



タ「よくわかんねーけど、ミッション成功…？」



タケミチはあまり腑に落ちないまま、沈みゆく太陽をバックにただただ呆然と立ち尽くしかなかった。

33話 東京卍會vs芭流覇羅→←31話 ハロウィンパーティー

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す