燕子花

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side青





「あ、翔太これ。熱海行ったお土産」




「うわーありがとう。蓮が好きそう」





はい、と渡されたのはチョコレート味のクッキー。熱海っぽさは全然ないけど(笑)蓮が喜びそうなチョイスでありがたい。





「ちょうど飯できたから手洗ってきなよ」




「おう、さんきゅ」




洗面所へ消えた照の後ろを着いて回る蓮。
足元に絡みつくみたいに抱きついて手洗いにくそうだな笑






「れんー、お手伝いしてー」




「あ、おててだい！」




「おてつだい、ね笑

これ持ってって？」





最近はお手伝いがブームの蓮。ご飯の準備やらお洗濯やら、なんでもおててだいします！って待ってるんだ。





「お！蓮箸並べてんの？偉いじゃん！」




「れんね、しょたのおててだいできる！」




「そりゃあ翔太も喜ぶなあ」





ふっかに褒められて誇らしげな蓮。可愛い。





いつもは2人だけのテーブルを4人で囲んで、みんなでご飯を食べる。



心做しか蓮もいつもより楽しそうで、こんな友達が周りにいてよかったってつくづく思う。





「あ、蓮ソース口にいっぱい付いてる」




「てっしゅください！」




「てっしゅ！可愛いなあ笑」




まだティッシュって言えないのがよっぽどツボに入ったのか、笑いが止まらないふっかを不思議そうに見つめる蓮。



何がおかしいのか分かってないな笑





「でもさあ、翔太もだいぶ料理上手くなったよな」




「そりゃあ練習したし」




「舘さんに教わってる時さ、できなくて拗ねてさ笑」




「うるせえ、しょうがないだろムズいんだもん」




「拗ねてんのが可愛かったって話よ笑」




「だからうるさいっての」





ふっかにいじられて、でもその自覚あるし、なんてちょっと恥ずかしくなって。

でも思い返せば練習で失敗して丸焦げのハンバーグとか、砂糖と塩間違えてしょっぱいホットケーキとか、水の配分間違えてべちょべちょのお米とか。


誰も責めたり馬鹿にしたりしないで「おいしいね」って全部食べてくれたんだよな。ふっかも照も、佐久間も涼太も。





「なんか、ありがとな」




「なに急に、なべが素直とか明日雨？」




「失礼な！人が感謝してるってのに」




「翔太、お前の料理はいつも美味いよ」




「しょたのごあん、せかいいちおいしよ！」




「あはっ、蓮が言うなら間違いないな」





全く、こいつら俺の涙のツボ知りすぎ。
ご飯中は我慢したけど、皿洗いながら密かに泣いてたのは秘密ね。

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