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涼太からの連絡があった時、心の底からほっとした。全身の力が抜けた。
良かった、無事で本当に良かった。
「佐久間には俺から連絡しとくからなべは座っときな」
ふっかの言葉をありがたく受け取ってソファに再び腰かけたけど、無事が分かってても落ち着かない。
そわそわとスマホを何度もチェックしたり立ったり座ったり。自分でも呆れるくらい心がざわざわしていた。
あまりに落ち着けないから、徐にキッチンに立った。
「なんか飲む?座ってて良いって」
「や、蓮の好きなホットミルク作る」
「そういうことね」
少し前から、蓮が怖い夢を見たり眠れなかったり、嫌なことがあったりした時はこれを飲ませて心を落ち着かせてやっている。
これ飲みたさにわざと落ち込んだフリする時もあるけど。笑
涼太が蓮とちゃんと話してくれているなら、せめて俺のことを許してくれなくてもいつものように同じだけの愛で出迎えてやりたいんだ。
ちょうど牛乳を温め終わった頃、がちゃりとドアが開く音がした。
「っ、蓮!」
弾かれたように俺の足はまっすぐ玄関に向かっていた。
そこには涼太と、涙で顔をぐちゃぐちゃにした蓮が立っていた。
「蓮...!良かった、ほんっとに良かった...」
きつく、折れそうなほどきつく抱きしめた。
俺の想いが、愛が伝わるように。
「蓮、ごめんな。俺パパなのにしっかりしてなくて、
ママが居ないのはおかしいことじゃない。蓮は絶対、変な子なんかじゃない。蓮は俺の、翔太の自慢の子だ。
ママとパパ、蓮が生まれた頃にね、どうしても離れなくちゃならなくなったんだ。でも、大丈夫だから。
俺がママの分、いやママの分以上に蓮のこと愛してる。」
ぎゅっと抱きしめたまま、蓮の目をまっすぐに見つめて俺の思いを伝えた。蓮が帰ってくるまでの間に必死に考えた言葉。
どうすれば伝わるのか、蓮を傷付けないか。
だけど蓮を前にしたら伝えたいことが溢れてきて、あんなに考えた台本も無駄だったわ。
「れんね、せかいいちかっこいいぱぱいるからいーの。
しょーたずっとれんといてくれるなら、ゆるしてあげる」
「...ん、ずーっと翔太と一緒だよ。」
「んふふっ、なかなおりっ!」
「そうだな、仲直り。さ、中入ろう。あったかいの作ってるよ」
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こーちゃん(プロフ) - わたがしさん» こちらこそお読み頂きありがとうございます!大変遅くなってしまいすみません、、、楽しんでいただけていれば幸いです! (2023年1月2日 9時) (レス) id: d698c39c36 (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - リクエスト、書いていただきありがとうございました!蓮くんが終始可愛かったです! (2023年1月1日 20時) (レス) @page41 id: 4da5866121 (このIDを非表示/違反報告)
すっち - 保育園から友達に手を出したと呼び出しが。相手の親にも責められ、翔太くんは謝るように促すが頑なに謝らない蓮くん。しかし家に帰って話を聞くと、大事な友達であるラウちゃんが悪口を言われているのをみて助けたかったからやってしまった…というお話が読みたいです! (2022年11月8日 1時) (レス) @page33 id: f1612d84db (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - 翔太君が仕事も育児も忙しくて、自分に余裕がなくなり、自宅で熱を出して倒れてしまうお話が読みたいです。蓮くんが倒れた翔太君を見て、頑張って舘さんに電話をして助けてあげるみたいな描写があると嬉しいです! (2022年10月22日 21時) (レス) id: 4da5866121 (このIDを非表示/違反報告)
こーちゃん(プロフ) - しろさん» リクエスト&お読み頂きありがとうございます!!これからも面白いお話書けるように頑張らせていただきます! (2022年10月11日 0時) (レス) id: d698c39c36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こーちゃん | 作成日時:2022年9月26日 22時