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side青
何も答えない俺に、蓮は目に涙をいっぱいに溜めてリビングを飛び出していった。
しばらくその場から動けなかった。
「なんで蓮は変な子なの」
蓮に、最愛の息子にそう言わせてしまったことが悲しくて悔しくて、とてつもなく自分に腹が立った。
「変な子、なんかじゃ...!」
蓮がいないこの場ではなんでも言えるのに、ママがいないことをどう説明すればいいのか、俺の頭では何もわからなかった。
「っあ、蓮、どこ?蓮〜、」
しばらくして意識がようやく現実に戻ってくると、今度は家のどこかへ逃げてしまった蓮を探すことへ意識が向いた。
「れん、翔太とお話しよ、ね?蓮、」
お風呂にもトイレにも物置部屋にも、どこにもいない。
家じゅう探し回ったのに、どこにも蓮に姿はなかった。
「どこ行ったの、蓮...!」
ポッケに入っていたスマホ以外は何も持たずに、衝動的に家を飛び出した。
玄関のカギは開いていたし、蓮の靴もなくなっていたから、外へ出たのは確実だった。
「どうしよう、蓮、」
俺がうまく返事できなかったから。
蓮が事故に遭っていたら?誰か悪い奴に連れ去られていたら?
近くの公園やいつもの散歩コース、蓮が行きそうなところはとにかく探した。
「え、翔太どうしたの!?」
いつもは仕事があるから車で行くけど、保育園も子どもの足でも行けないことはない。もう閉園しているはずの保育園にも走った。
「蓮、蓮が、俺のせいで蓮が...!」
「翔太落ち着いて、大丈夫だから。ね?
裸足だしこんなに寒いのに薄着だし、一体何があったの」
自分が裸足であることには佐久間に言われて気が付いた。確かにすごく寒いし。
そんなことどうでも良いくらい、蓮のことしか考えていなかった。
佐久間に手短に事情を話せば、すぐに探してくれると言った。
「俺も探すし舘さんにもふっかたちにも連絡するから。翔太は家で待ってて。」
「は、いや俺も探す、俺のせいなのにっ、」
「もしかしたら家に帰ってくるかもしれないでしょ?それに、今の翔太が落ち着いて行動できるとは思えない。大丈夫だから、あったかいものでも作って、待っててあげて。」
佐久間は車に乗せ家まで俺を送り届けると、いつの間に連絡していたのかふっかが家の前にいた。
「しょーた。大丈夫だから、一緒に待ってよう」
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こーちゃん(プロフ) - わたがしさん» こちらこそお読み頂きありがとうございます!大変遅くなってしまいすみません、、、楽しんでいただけていれば幸いです! (2023年1月2日 9時) (レス) id: d698c39c36 (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - リクエスト、書いていただきありがとうございました!蓮くんが終始可愛かったです! (2023年1月1日 20時) (レス) @page41 id: 4da5866121 (このIDを非表示/違反報告)
すっち - 保育園から友達に手を出したと呼び出しが。相手の親にも責められ、翔太くんは謝るように促すが頑なに謝らない蓮くん。しかし家に帰って話を聞くと、大事な友達であるラウちゃんが悪口を言われているのをみて助けたかったからやってしまった…というお話が読みたいです! (2022年11月8日 1時) (レス) @page33 id: f1612d84db (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - 翔太君が仕事も育児も忙しくて、自分に余裕がなくなり、自宅で熱を出して倒れてしまうお話が読みたいです。蓮くんが倒れた翔太君を見て、頑張って舘さんに電話をして助けてあげるみたいな描写があると嬉しいです! (2022年10月22日 21時) (レス) id: 4da5866121 (このIDを非表示/違反報告)
こーちゃん(プロフ) - しろさん» リクエスト&お読み頂きありがとうございます!!これからも面白いお話書けるように頑張らせていただきます! (2022年10月11日 0時) (レス) id: d698c39c36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こーちゃん | 作成日時:2022年9月26日 22時