燕子花

俺と君の始まり ページ28

リクエストはまだありますが一旦ここで過去の話を入れさせて頂きます！
移行してしまう前に2人の始まりを書いておきたくて...




side青






俺の元妻は、高校の同級生だった。





同窓会で再会して、そのまま恋に落ちるっていう鉄板のパターン。







大学を卒業してすぐに結婚した俺たちは、決して裕福じゃないけど、細々と幸せに暮らしていた。






俺の仕事も軌道に乗ってきた時、彼女の妊娠が分かった。





俺たちはそれはそれは喜んで、お互いの両親も鬱陶しいぐらいお祝いしてくれた。







幸せの絶頂、ってやつだった。






辛いつわりも出産も、俺には体験できないけど必死に出来ることはサポートして、なんとか蓮をこの世に迎えたんだ。






だけど、俺たちの仲に亀裂が入り始めたのはここからだった。







「なんで泣き止まないのよ...！泣き止んでよ！！！」





「沙耶、大丈夫だから。赤ちゃんは泣くのが仕事だろ？」





「だって、もうこんな時間なのに！」






蓮は夜泣きが少し酷い方で、俺も彼女も寝不足の日が続いていた。
上手く泣き止ませられないことで、自分はダメな母親だと思い込んでしまっているみたいでもあった。






「夜泣きはどこの子でもするもんだから。



お腹すいてるだけだって、大丈夫」





「お乳もあげたしげっぷもさせた、どうして泣き止まないの！？」






「ちょ、沙耶...！蓮を叩くのは違うだろ」






マタニティブルーズってやつだった。
それなら俺は支えないと。




そう思って、仕事の合間にちょくちょく連絡したり休みの日に子どもを預けて彼女を散歩へ連れ出してみたり、気分転換になりそうな事は何でもやった。






だけど中々改善しなくて、むしろ蓮を叩いたりつねってみたり、力ずくで泣き止ませようとすることが増えていった。







彼女が寝たあと、ふいに蓮を見ると、腕に薄ら痣が残っていて、これは立派な虐待だと、苦しくなった。







けれど、俺にとっては蓮も彼女も、どちらも命よりも大事な存在で、どうにかしてこの状況を改善したかった。







彼女は日頃のストレスが強いのか、夜泣きにも気付かず眠るようになった。




でもそれを悪い事だとは思わなかった。





起きないなら俺がやればいい。
むしろ、彼女が起きてしまったらまた蓮を傷つけてしまうかもしれない。



その恐怖の方が大きかったんだ。

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