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入学式当日【ハイン・シュヴァルツ】 ページ17

シュヴァルツ家のある一室。

ふわふわのソファーに身を預けた少女が、たった今隣で立ち上がった青年を見上げた。

「お兄様?もうお行きになってしまうの?」

名残惜しそうにこちらを見上げる妹の、ふわふわの髪を優しく撫でる。
ハイン・シュヴァルツはそうして、ゆっくり微笑んだ。

「また手紙を送るから、楽しみに待っているんだよ?」





春休みが終わり、今日は入学式も兼ねた始業式がある。

高等部3年の彼としては、全ての行事一つ一つが最後となる…。
どれも楽しいイベントで、どんな人間と出会えるのか考えただけで心弾む。

しかし同時に、シュヴァルツ家の為、果ては自分の為、人との交流関係を更に広げていかなくては、という焦りを、感じていないと言えば嘘になる…。


コツコツ…と寮の廊下に響く自らの足音に、どこか無機質なものを感じた。


いずれハインがシュヴァルツ家の主になるというのは周知の事実で、自分でもそれは幼少期の頃からわかっていたし、そう教育されて生きて来た。

ただ…、自分に本当に務まるのかと、最近は柄にもなく考える。
有り体に言えば、不安なのだ。
考え始めると暗闇のように、先が見えない__。




ふと気がつくと、ハインは部屋の前に到着していた。

5階の508号室…、同室の彼はもう来ているだろうか?
ゆっくりと扉を開けるも…、そこに人の姿は無かった。

ハインは、ふっと短く息を吐く。おおかた”彼”は図書館かどこかで本でもよんでいるのだろうか。図書館の机にどっさりと本を並べて読みふける彼の姿を想像して、少し笑った。


自分の机に荷物を置き、窓を大きく開け放つ。
春の柔らかい風が、頬を優しく撫ぜていった。


…なんにせよ残り一年、自分の思うまま過ごすだけだ。

春の陽気は眠気を誘う。ハインはおおきく腕を伸ばした。うぅん…と声が小さく漏れる。


今年は一体どんなことが起こるのだろうか…

腕を下ろし、少しの期待を胸に青空を見上げると、どこからか花びらが一枚、ひらりと舞い落ちる。

ハインはそれに手を伸ばし、加減をして触れてから、満足げに窓を閉めた。

風に乗って浮き上がる、黒い花びら…
炎によって焦がれ黒く変色した花びらが、ゆっくりと落ちていった__。

教室【ロスト・アレクテル】→←入学式当日【アベル・ベリーツ】



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ヴァ一チャルユ一チュ一バ一甘納豆 - かそってるのでちょっとだけ書きました (2020年12月3日 22時) (レス) id: ea2c38e380 (このIDを非表示/違反報告)
月灯 月奏さルクルNo.2(プロフ) - 更新します (2020年3月12日 15時) (レス) id: 28a617331c (このIDを非表示/違反報告)
流星(るい)(プロフ) - 次の方、ディアと同じ学年(高等部二年生)の方、前の話の口調や名前の変更と更新をお願いします…! (2020年2月2日 20時) (レス) id: 9a3d801151 (このIDを非表示/違反報告)
紅月@aile(プロフ) - ヴァーチャルユーチューバー甘納豆さん» 頑張ってください! (2020年2月2日 15時) (レス) id: 62a5f394e4 (このIDを非表示/違反報告)
ヴァーチャルユーチューバー甘納豆(プロフ) - 更新します (2020年2月2日 14時) (レス) id: 7acbd0d80f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:流星(るい) x他1人 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2019年11月15日 14時

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