第三十六譚 ページ36
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＿＿＿＿周囲が暗くなってから、二人は動き始めた。
ざざ…と。波の音が聞こえる。荼毘と氷室は、浜辺を歩いていた。街灯もない浜辺。夜の海は真っ暗で、頼りなのは月しかいない。
「はは、ちょっとくすぐってぇかも」
氷室は靴と靴下を脱いで、それを手に持っていた。裸足で浜を歩く氷室は、さらさらな砂の感触にくすぐったさを感じていた。
氷室の遊びに付き合わされている荼毘。荼毘も暇ではない。なのに、氷室に付き合ってやっている理由とは。
「ほれ」
ばしゃん！と海水がはねた。氷室が海水を蹴り上げ、詰まらなそうにしている荼毘にかけたのだ。
「…おまえ」
「おぉ怖。逃げよ逃げよ」
ぱしゃぱしゃ。氷室はズボンを捲って、波打ち際からもう少し奥まで逃げる。荼毘が追いかけて来れないように。
「こっち来い」
荼毘はそう手招きをして、氷室に戻ってくるように促した。氷室はへらりと笑って「やーだよ」と舌を出して挑発する。
荼毘はそんな氷室を鼻で笑った。
「ガキかよ」
「は、そーだよ。まだ十六歳のクソガキだよ」
「……へえ。十六か。そこまでは知らなかったな」
今日だけで、荼毘は氷室の謎を次々と暴いて行く。以前の氷室ならば…絶対にしない事までしているものだから、それが面白くてここまで着いてきている。
氷室は、海水が膝下まで浸かるくらいの所まで行っていた。ここなら荼毘が来れまいと。
氷室の余裕そうな態度が少々気に食わない。それに、さっき海水をかけられたままやり返さないのも気分が悪い。
荼毘はポケットに手を突っ込んだまま、靴も脱がず、バシャバシャと気にせず海に入っていく。
「おい待て、落ち着け、おわ！」
ズカズカと海に入り込んだ荼毘は、氷室の事を手で強く押し退いた。すると氷室は意図も簡単にバランスを崩し、上半身を海に投げ出した。
顔まで海に浸かってしまった氷室。すぐに上半身を起こし、濡れた髪を乾かすように顔をぶるぶると犬のように振った。
その仕草には荼毘も一瞬、「こいつ犬かよ」とは思ったが…わざわざ口にはしなかった。
「げほ、おぇ、何すんだおい…」
「腹立ったからビッショビショにしてやったんだよ」
「…へぇ、そりゃ名案だ」
氷室は荼毘の腕をぐいと引いた。バランスが取りにくい場所のため、荼毘もバランスを崩し、海の中に落ちる。
と言っても、荼毘は膝立ちで済んでいるため、濡れたのは太ももから下までだ。氷室はそんな荼毘を指さして笑った。
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χCielχ(プロフ) - やっさんさん» そうです〜！！氷室編で出すかどうか今は迷っております〜ややこしくならないよう心がけます💪 (2021年11月27日 0時) (
レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 瑠李さん» ｱ!!ありがとうございます！！(*´╰╯`)楽しみに待ってくれているのだなと思えるだけでとても力になりますありがとうございます！頑張ります！！ (2021年11月27日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - へ！？逆巻さんて、あの、時間巻き戻しの逆巻さんですね(^^♪。活躍場面は、あるのでしょうか(^^)？ (2021年11月26日 22時) (レス) id: a424e1a16c (このIDを非表示/違反報告)
瑠李(プロフ) - めっちゃ好きです˙˚ʚ₍ ᐢ. ̫ .ᐢ ₎ɞ˚読んでます。更新いつも楽しみに待っています。頑張ってください。応援してます。 (2021年11月26日 18時) (レス) id: 9824e2f221 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - あのさん» ありがとうございます〜！！男主に触れて下さり嬉しいです！コメントとても力になります…！頑張ります！！！ (2021年11月26日 1時) (レス) @page47 id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
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