第三十四譚 ページ34
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この辺りを捜しても、荼毘の姿は見当たらない。もしかして先にどこかへ逃げてしまったんだろうか。
待ってくれよ。俺には、俺の手がかりはもう、あんたしか居ないんだよ。
「荼毘！」
森の中に響く、中性的な氷室の声。その声は確かに焦っていた。家は燃えてしまったし、いつ記憶が戻るかも分からない。だから手がかりが荼毘しか居なかった。
「…荼毘、どこだよ」
ヒーローが向かっている場所で、こんなに『荼毘』と呼んでいたら、ヒーローが声の方へ寄ってきてしまう。『荼毘』を知らないヒーローなんて居やしないのだから。
「だ、むぐ」
背後から、乱暴に口を塞がれた。その手はツギハギな手で、一目で荼毘の手だと分かった。
「うるせえなあ…。おまえ実は頭わりいだろ」
荼毘は呆れたようにそう言い、一瞬だけ口を塞いだあと、すぐに手を離す。荼毘を見つけた氷室に、先ほどまでの焦りはなかった。
「逃げたかと思ったじゃん」
「ヒーローはこの状況に乗じて俺が逃げると思うからな。逆にしばらくここに留まった方が良策だ」
と、荼毘はそう言いながら森の奥へと進んで行くので、氷室はその後をついて行った。木々が入り組んだ場所で、荼毘が足を止める。
大きな木に寄りかかるようにして、荼毘は地面に座り込む。
「怪我はねぇ？」
荼毘と視線を合わせるように、氷室は屈んでそう言った。
真っ白な髪に、白い肌。瞳にだけ真っ赤な色がついている。良く見れば顔は大人びた。普通なら、さらに綺麗になったと思うのだろう。
だが荼毘は、さらに気色悪くなったな、と思うだけだった。荼毘にとってはその綺麗さが、逆に気味悪くて仕方ない。
人間の前で、どんな綺麗な姿にも化けられる。時にはその美貌さえも利用する。…それが『悪魔』と言うやつだ。
「あー…骨折した」
「嘘つけよ」
「歩けねえ」
「さっきまで元気に歩いてたろーがよ」
そう言うのまじで要らねえわ、と言うように、氷室はため息を吐いて、荼毘の正面にあぐらをかいて座った。
「な、改めて聞いていいか。あんた俺の何なんだ」
荼毘は少し悩む。このまま真実を話してやるのもいいが、記憶を無くされたままの方が利用しやすい。
「トモダチだな」
荼毘はそう言った。友人という
「そりゃジョークか？」
「いや？本当だぜ、雪弥クン」
荼毘に友人っぽく名前を呼ばれ、なぜか少しだけぞわりとした氷室であった。
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χCielχ(プロフ) - やっさんさん» そうです〜！！氷室編で出すかどうか今は迷っております〜ややこしくならないよう心がけます💪 (2021年11月27日 0時) (
レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 瑠李さん» ｱ!!ありがとうございます！！(*´╰╯`)楽しみに待ってくれているのだなと思えるだけでとても力になりますありがとうございます！頑張ります！！ (2021年11月27日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - へ！？逆巻さんて、あの、時間巻き戻しの逆巻さんですね(^^♪。活躍場面は、あるのでしょうか(^^)？ (2021年11月26日 22時) (レス) id: a424e1a16c (このIDを非表示/違反報告)
瑠李(プロフ) - めっちゃ好きです˙˚ʚ₍ ᐢ. ̫ .ᐢ ₎ɞ˚読んでます。更新いつも楽しみに待っています。頑張ってください。応援してます。 (2021年11月26日 18時) (レス) id: 9824e2f221 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - あのさん» ありがとうございます〜！！男主に触れて下さり嬉しいです！コメントとても力になります…！頑張ります！！！ (2021年11月26日 1時) (レス) @page47 id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
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