Necromance49 ページ49
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「だーざーいーくーん」
息はあるが、中々目覚めない太宰の頬をつつく。それでも目覚める気配は無い。そこでとうとう藤崎は、最後の手段に出る。
「仕方ないな、凄く嫌だけど…ここは王子様のキ____」
「いやあ善い川だった!!」
まるで聞いて居たのではないかと云う程に、太宰が高速で上半身を起こした。その隣で「あ、起きた」なんて、何事も無かったかの様に笑う藤崎。
「何だか物凄く悪寒がしたから目が覚めて仕舞ったのだよ。この悪寒は何だろう」
「さぁ〜?怖い夢でも見たかな?」
目覚めた太宰が、何やらじっと藤崎の方を見詰めた。何か珍しい物でも見たかの様な太宰の表情。何かと思って首を傾げる藤崎。
「何だぁ、翔の手、普通の手じゃないか!手袋外した所見た事無かったから、てっきり機械で出来た手か何かかと思って居たよ!」
「………え?」
太宰にけらけらとそう云われ、頭に疑問符を浮かべた藤崎。右手を見ると、自分とした事が…手袋を外したままだったのだ。
様々な理由で、長年手袋を欠かす事の無かった藤崎にとって、誰かに素手を晒す事は……恥ずかしくて仕方が無い。
わなわなと震えた桜髪の男。
「な…は、み、みみ見ないで!!」
慌てて右手を背に隠し、若干頬を赤く染めて太宰を睨み付ける。揺らぐ金色の瞳。珍しく見せた藤崎の動揺。
それが余りにも面白くて、太宰はニタァと口角を上げて更に追い討ちを掛ける。
「綺麗な手だったねぇ。手入れが行き届いて。何の為にだい?ねえねえ」
「褒めないで!手袋!!あれ?手袋どこ?!」
「これの事?」
太宰が何時の間にか藤崎の手袋を持っており、白い手袋を藤崎の目の前にちらつかせた。
「そう、それ!か…返して…」
「やだね」
手袋を返してと頼むも、太宰は舌を出して拒否をした。上裸を見られるより、素手を見られる方がずっと恥ずかしい藤崎。冷静で狡賢い何時もの藤崎が…嘘の様である。
「太宰君ほんと…もうやだ…」
眉を下げて、少しばかり震えた声の三十路近い男性が可哀想になり、仕方ないなと太宰は手袋を返した。普段見れない藤崎を見れて、そこはかとなく気分が善い。
返された瞬間、手袋を付けた。そうして溜め息を吐いて安堵し、
ケロッと何時もの藤崎に戻った。
「末代まで呪い祟ってやろうかこの餓鬼」
笑顔で物騒な事を云われるも、先程の赤面した藤崎を思い出して仕舞って…怖くも何とも無い。
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【要注意人物】
藤崎翔:年齢27歳。身長175cm。体重58kg。彼の詳細を公にすれば、街の均衡が乱れる可能性が大いにある為、詳細は厳重に保管、或いは消去済みである。
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χCielχ(プロフ) - 奏汰さん» ありがとうございます〜〜!!嬉しいです!!!! (2019年7月19日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
奏汰(プロフ) - めちゃくちゃ好きです。 (2019年7月17日 2時) (レス) id: d623967004 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» だめですねぇ笑笑←藤崎の方がいい匂いするらしいです( ˇωˇ )(煙草臭除けば) (2019年6月26日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - χCielχさん» わーい!いい匂いだ〜!素晴らしいなぁ〜!!みたいな感じで天に召されてくれませんかね、幽霊さんたち。……ダメですか?(´・ω・`) (2019年6月11日 0時) (レス) id: d74fa5c180 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» いい匂いになるだけですね!? (2019年6月2日 10時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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