傷だらけの君を、描かせて呉れ。【文豪ストレイドッグス】

Necromance３９ ページ39

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かなり背筋がぞくぞくする様な残虐で恐ろしい手術法だ。然し、当の藤崎は凄まじい想像をして、とても楽しそうに話して居る。これだから身体障害性愛(アベイショフィリア)は。



「元は凶暴な精神病患者にする手術でね。前頭葉は感情や抑制を司る。受けた患者は罪悪感を余り感じなくなる。抑制が無ければ犯罪に走る。禁止された怖い手術だよ」


十分もあれば出来る手術法。ロボトミー手術を受けた過去の患者の中には、感情の起伏が無くなり穏やかになったが、抑制が効かない為、犯罪に走る事も多かった。


今回この不可思議な殺人事件は、ロボトミー手術による物だと思われる。



「ま、俺だったら五分で出来るけど。犯人も五分以内で出来る可能性は充分ある。専門家ならね」



手をひらひらとさせながら話し、何時の間にかへらりとした普段の表情に戻って居た。そうして、ロボトミー手術の図を描いた横顔の絵に、鼻毛やら何やらを描き足して行く。



「んんっ！！んはははは」



藤崎が口を押さえて笑って居ると、耐え切れずそれを見て居た敦も口を押さえる。大事な話をして居るのにも関わらず、二人して笑いのツボに入って居るので、国木田の沸点は限界。



「貴様らァ！！」



鼻毛を描いた紙を奪い取り、ぐしゃぐしゃのビリビリにして塵箱に入れる。敦は国木田の怒りに硬直。藤崎は爆笑したまま。



ふと藤崎の桜色の頭の上に、細い腕が乗った。



「なンだい騒がしい。此奴が居ると何時も五月蝿くなるのは如何してなのかねェ？」



ずし、とそのまま藤崎に全体重を掛ける与謝野。与謝野に何度も解体された記憶が蘇るが、藤崎は笑顔で与謝野の方に振り向く。



「あ。あきちゃん！相変わらず綺麗だね」



与謝野は真顔で、藤崎の耳を思い切り引っ張る。「いだだだ」と声を上げるも、離してくれる気配は無い。



「あきちゃんはよしな。何度目だい」


「じゃあ晶子？」


「それはもっと厭だねェ」



ぐりぐりと更に耳を引っ張る。藤崎の耳は既に真っ赤だ。



「痛い痛い与謝野さん、耳伸びる！象になっちゃうぞう！」


「つまんない事云ってンじゃないよ！」



耳の痛みからは逃れたが、バシン！と藤崎の背を叩いた与謝野。その顔は呆れた表情だ。けれども何処か…楽しそうではあった。



「いやぁ…この歳になるとオヤジギャグも様になって来るな…」



はぁ、と肩を落としてしょげる桜髪の男。見た目は充分若そうなのだが、矢張り三十路手前は気になる物だ。


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【要注意人物】

藤崎翔：年齢27歳。身長175cm。体重58kg。彼の詳細を公にすれば、街の均衡が乱れる可能性が大いにある為、詳細は厳重に保管、或いは消去済みである。

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