Necromance31 ページ31
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____廃工場付近の路地裏だ。
と、乱歩が云って居た。
廃工場にやって来たのは善いものの、この辺りは物騒だ。かなり血の気が多いゴロツキが溜まりやすい場所。今絡まれでもすれば拙い。
何せ反動後の体。それでいて万年美術部だった。運動なんてそんなものはした事が無い。高校までの体育位か。
「老体だなぁ…まだ二十代なのに」
三十路に近付くに連れて、溜め息が多くなる。
探偵事務所を出る前。敦は「ぼ、僕も行きます!」と藤崎を心配してくれた。「有難う、大丈夫だよ」と返して出て来た。
敦に見せる訳には行かない。何せ奴らは半殺し…否、九割殺す心算では居るからだ。自分が可笑しいのは充分把握している。そう、それは十二歳の頃から。幼い時から、既に。
暗い路地裏。人影が見えた。藤崎は建物の影に身を潜め、背を壁に付けたまま路地の奥を覗き込む。
人影が消えたので、藤崎も奥の方へと進む。今死霊術を扱えば危うい。オサムを助ける術が無くなる。次いでに九割殺す術も無くなる。
人影が入って行った曲がり角。そこまで小走りで駆けた。すると…。
ばったり。動物を不法に売買する犯罪者の男と鉢合わせた。確信を得たのは、白い猫の毛がその男に付着して居たからだ。そして見るからに極悪人顔。
絶対此奴だ。顔が自白してる。失礼ながら、藤崎はそう思った。
「白猫。見覚え無いかな」
確信を得て居る藤崎の顔付き。男は突然藤崎に殴り掛かった。それが犯罪者と云う証拠だろう。
「暴力反対!俺か弱いので!」
素早く屈み混み、一撃目を躱す。構えを見れば大体何処に拳が来るかは判る。人体の構造及び機能的に考えたら善く判る。
「話し合おう、きっと判り合える。白猫を返してくれたら、俺は君を殺す。判ってくれるかな」
「お前みてぇな貧弱野郎に殺される訳無えだろうが!」
男は藤崎の首に掴み掛かり、壁に桜色の頭を押し当てた。藤崎は避けなかった。
「…っは、野蛮人。その手で俺の愛猫に触られたと思うと鳥肌が立つなあ。殺したい。今すぐ」
首を絞める力が増す。藤崎はゆっくりと左耳に手を触れる。赤い宝石の様なピアスをブチ、と千切ると…宝石の先端を男の眼球に突き刺した。
それをぐりんと抉る様に、掌で押し込んだ。男は短い悲鳴を上げる。だが痛みには慣れて居るその男。
慣れて居る筈が、男は力が抜けた様に膝を着いた。
「あっは。…それは即効性の毒だ。ちゃんと体内に入った様で何より」
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【要注意人物】
藤崎翔:年齢27歳。身長175cm。体重58kg。彼の詳細を公にすれば、街の均衡が乱れる可能性が大いにある為、詳細は厳重に保管、或いは消去済みである。
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χCielχ(プロフ) - 奏汰さん» ありがとうございます〜〜!!嬉しいです!!!! (2019年7月19日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
奏汰(プロフ) - めちゃくちゃ好きです。 (2019年7月17日 2時) (レス) id: d623967004 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» だめですねぇ笑笑←藤崎の方がいい匂いするらしいです( ˇωˇ )(煙草臭除けば) (2019年6月26日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - χCielχさん» わーい!いい匂いだ〜!素晴らしいなぁ〜!!みたいな感じで天に召されてくれませんかね、幽霊さんたち。……ダメですか?(´・ω・`) (2019年6月11日 0時) (レス) id: d74fa5c180 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» いい匂いになるだけですね!? (2019年6月2日 10時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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