Necromance23 ページ23
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____四年前。
とある激辛ラーメン店に、桜髪の男…藤崎と、赤い髪の男、織田作之助居た。
織田は、店内で一番辛いラーメンを頼んだにも関わらず、更に辛そうな調味料をザバァと掛けて居たのだ。それにも藤崎もぎょっとし、織田の手首を掴んで止めた。
「ちょちょちょちょいちょい」
「何だ」
「さくすけは寝惚けてるのかな!?真っ赤だよラーメン!!」
『作之助』は長いから、と藤崎は織田を『さくすけ』と呼んで居た。
藤崎は今も昔も大して変わらない。そんな藤崎が、自然と突っ込んで仕舞う位、織田はボケの才能があった。本人は気にも留めて居ない様だが。
「これ位が美味しい。どれ、翔のにも掛けてやる」
ザバァ、真っ赤な調味料が、藤崎のラーメンに掛かる。藤崎の顔は悲劇の大女優の様に絶望に満ち溢れて居た。
「ぎゃあああ!俺の味噌ラーメン!!さくすけの莫迦ーー!!」
二人は友人だった。藤崎は十八歳から『均衡者』として莫大な情報をその脳に宿していた。だから他人とは距離を取らなければならなかった。
織田は、藤崎がマフィアにも関係する事を知って居た。
そして藤崎には、既に家族は居なかった。何故か、何て織田は聞かなかった。判るからだ。その壁を隔てる様な笑顔を見れば。少しばかり太宰と似ているな、とも思った。
同い年の織田と藤崎。互いの触れては行けない部分以外は、遠慮をしない関係にあった。
何とかラーメンを食べ終わり、店を出る。歩いて居ると、織田が煙草を咥えて火を付けた。
「うわ、善く吸えるなぁ…そんな物の
「何でだろうな、何となくだ」
「俺にも頂戴!」
興味本位で、煙草をくれと織田に手を出した。友人である藤崎の輝かしい瞳に耐え切れず、煙草を一本寄こした。銀のライターと共に。
藤崎も真似をする様に咥えて、火を付けて吸ってみる。
「げっほ!ごっほ、う、うぇ、」
一口でこの様だ。織田は可笑しくて笑った。この男に煙草は一生無理だろうと。
「無理するな」
生理的な涙が藤崎を襲う。口内に煙草の味が残って気持ちが悪い。
…だが、友人が亡くなったと聞いたあの日。
あの日は、織田と同じ銘柄の煙草とライターを買い占めて、一日中…噎せても噎せても、例え吐いても、泣いても、吸い続けた。あの日に、一体…何本吸っただろう。
空になった煙草の箱が、無数に転がっていたのは覚えて居る。
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【要注意人物】
藤崎翔:年齢27歳。身長175cm。体重58kg。彼の詳細を公にすれば、街の均衡が乱れる可能性が大いにある為、詳細は厳重に保管、或いは消去済みである。
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χCielχ(プロフ) - 奏汰さん» ありがとうございます〜〜!!嬉しいです!!!! (2019年7月19日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
奏汰(プロフ) - めちゃくちゃ好きです。 (2019年7月17日 2時) (レス) id: d623967004 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» だめですねぇ笑笑←藤崎の方がいい匂いするらしいです( ˇωˇ )(煙草臭除けば) (2019年6月26日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - χCielχさん» わーい!いい匂いだ〜!素晴らしいなぁ〜!!みたいな感じで天に召されてくれませんかね、幽霊さんたち。……ダメですか?(´・ω・`) (2019年6月11日 0時) (レス) id: d74fa5c180 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» いい匂いになるだけですね!? (2019年6月2日 10時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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