Necromance17 ページ17
_
「それはまた、随分と唐突だなぁ」
「今に始まった事では無いでしょう」
真逆街中の喫茶処で、物騒な事を話して居るなど誰も思わない。だが太宰はこれを予測して、駄目元で藤崎に盗聴器を仕掛けた。然しそれは矢張り駄目だった様だ。
ドストエフスキーは直球に問った。「翔君。貴方の弱みは
何ですか」と。
「それは前に教えたじゃんか、案外欲しがりさんだな?」
「いいえ。先日翔君がぼくに云った『あの情報』は、この街の
存亡に関わる事であって、貴方自身の弱みではありません」
藤崎は人差し指を口唇に当てて悩む。藤崎は視える異能。きっと何か…沢山視えている。だから割に合わない。互いに同等の抑止力が必要なのだ。
桜髪の男は、にぱっと笑った。場違いにも程があるが…、
ドストエフスキーも慣れて居るのか、薄笑いを返す。
「この街の存亡に関わる事ってかなりヤバいと思うんだけど?
いやあ流石、危機感覚が狂ってんなぁ」
口元を押さえて愉快そうに笑う。手袋越しの手に温度を感じ無い。悪魔の様な笑みを浮かべる藤崎。けれども相手は『魔人』。悪魔と魔人は、似た様で似つかない。
「……『アレ』の設計図は俺が書いた。君だけに解除方法を教えたのは…俺が君を、一方的に
駄目?」
藤崎翔と云う男の事は、何時だって疑うべきだ。けれど、似つかわしくない真剣な表情で、普段は云わない様な台詞を…その口から聞いたのだ。
「これが、君が俺に掛けるべき抑止力だ。満足してくれるかな?フョードル・ドストエフスキー」
ふ、と緩やかに口角を上げる黒髪の彼。風に黒い髪が靡き、その白い肌を擽る。紫色の瞳が、藤崎の金色を捉える。吸い込まれれば終わりだ。色合い的にも、黄色は紫色には勝てない。混ざれば取り込まれる。
「……結構です、
「いや、そこ!?それは広めないで!絶対駄目なんだからね!
怒っちゃうんだからね!」
「善いですよ。貴方が怒る姿も見てみたいので」
藤崎は眉間を摘み、苦労人の様な顔をする。珍しく振り回されて居るのだ。畜生、今度は俺のターンだ。と云わんばかりにカッと目を開く。
「君は、見る度貧弱になって行くね。弱ってくなあ。目に見える。是非画材になってくれないか」
「お断りします」
_
【要注意人物】
藤崎翔:年齢27歳。身長175cm。体重58kg。彼の詳細を公にすれば、街の均衡が乱れる可能性が大いにある為、詳細は厳重に保管、或いは消去済みである。
551人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
χCielχ(プロフ) - 奏汰さん» ありがとうございます〜〜!!嬉しいです!!!! (2019年7月19日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
奏汰(プロフ) - めちゃくちゃ好きです。 (2019年7月17日 2時) (レス) id: d623967004 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» だめですねぇ笑笑←藤崎の方がいい匂いするらしいです( ˇωˇ )(煙草臭除けば) (2019年6月26日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - χCielχさん» わーい!いい匂いだ〜!素晴らしいなぁ〜!!みたいな感じで天に召されてくれませんかね、幽霊さんたち。……ダメですか?(´・ω・`) (2019年6月11日 0時) (レス) id: d74fa5c180 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» いい匂いになるだけですね!? (2019年6月2日 10時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ