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○AA。それが彼女の名前。
彼女のことを先生達が苗字で呼び、彼女の友人が名前で呼んでいたのを聞いた。おそらく彼がこのクラスの女子のフルネームを最初に覚えたのは彼女だろう。
話しかけたい気持ちはある。だがどうにもタイミングが合わず、彼女が一人の時には彼が友人に呼ばれたり、彼が一人の時には彼女が友人とお喋りをしていたり。
同じクラスだからいつでも話せるだろうとゾムはそう楽観視していたが、意外と現実は甘くなかった。最初は話そうと意気込んではいたけれど、途中から諦めて、まあ機会があればいいかと結局のんびり待つことにしたのだ。
そして機会と言うものは唐突に訪れるもので。
昼休みがもうすぐ終わる頃合い、ゾムはいつもの悪友達と楽しい時間を過ごしてから教室に戻った。その頃にはもう彼女の席を覚え、ほぼ無意識に視線を向ける癖が出来てしまっていた。だから何気なく、またそちらを見遣る。
すると其処に自分の席に着いている彼女の姿を見つけた。生徒達の声が賑わう中、彼女は一人静かに本を読んでいたのだ。
これは、チャンスなのでは——。
その瞬間、彼の頭の中にその思考が過ぎった。少しだけ心臓が早くなる。柄にもなく緊張を見せる自分に気恥ずかしさを感じながらもゾムは彼女の方へと歩み寄った。あくまで自然に、周りに不審がられないように。
と言うか、読書もするタイプなのか。近付きながら、一体何の本を読んでいるのかと気になった。表紙にはカバーが付けられている為外からでは全く分からない。
首を傾けて、彼女の背後から中身を覗き見る。その瞬間ゾムは思わず目を見開いた。
目が痛くなるような文字の羅列が刻まれているかと思いきや、そこにはイラストや写真のような絵が載せられていて、非常にカラフルだった。ページの端には確かに文章があるけれど、圧倒的に絵の方が割合を占めている。
ゾムにとってそれは見覚えのあるものだった。中身と言うよりはその絵や文章の配置、読者に分かりやすいように考えられたその構図にとても親しみを感じた。
それはゲームの攻略本だ。
更に近付いてみれば、しかも自分がやったことのあるゲームのものだと気付いた。と言うことは、彼女はこれをプレイしている最中なのだろうか。
んふ。ゾムは堪え切れず小さな笑いを零した。
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抹茶ちよこ(プロフ) - 瑞稀さん» コメントありがとうございます！面白いと言って頂けてとても嬉しいです！これからもどうぞ温かい目で見てやって下さい。ありがとうございます！ (2022年4月17日 12時) (
レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - うわぁ〜〜！！本当に面白いです！！まさかのライバル？！誰なんだ…続きも楽しみにしてます！ (2022年4月15日 0時) (レス) @page39 id: 503fd2a4ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2022年3月14日 15時
