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○それにゾムは相変わらず真面目だなあと妙な安心感を覚えて、彼女が持つペンに視線を移す。その上の部分、キャップから垂れ下がる猫のキャラクターが手の動きと連動してゆらゆらと揺れている。それが何だか可愛く見えた彼は口元に小さく笑みを浮かべた後また彼女の横顔へと視線を戻す。
しばしそれを見つめていると、ふとあることに気が付いた。そう言えば彼女はあれから一度も黒板の方を見ていない。ただひたすらノートに何かを書くことに集中しているようだった。
黒板の文字を写しているわけでもなさそうな様子だが、やけに真剣な顔で筆を走らせる彼女にゾムは首を捻る。と同時に好奇心が芽生え静かに、バレないように彼女の後ろからそれを覗き込む。
すると罫線が引かれた紙の上には文字ではない、人の形らしきものが描かれていた。目を凝らせばそれが男性のキャラクターだと一目で分かるくらい、その綺麗な線画にゾムは目を丸くした。
「上手いやん」
思わずそう呟くと、次の瞬間彼女の体が大きく震え、ノートの男性は瞬時に彼女の腕によって隠された。次いでこちらへと振り返ってきた彼女の目が大きく見開かれ、その顔が真っ赤に染められていた。
まさかそこまで驚くとは思っていなかったゾムもまた思わず固まってしまった。そんな彼からばっと顔を逸らしたAは急いでページをめくり、黒板の文字をノートに写し始めた。
まるで今までちゃんと授業を受けてましたよ、と言うような姿勢になる彼女。しかしその頬にはまだ赤みが残っていた。
ゾムはそれ以上彼女に声を掛けることはせず、ふーん、とまた頬杖をつきながらその横顔を眺めていた。
「Aさん、絵もめっちゃ上手いんやね」
授業が終わった瞬間賑やかになる教室。クラスメイト達の声が飛び交う中、早速ゾムが隣の彼女へ声を掛けた。瞬間、Aの頬がまた赤くなり始め、彼女の瞳が忙しなく揺れる。
明らかに動揺と羞恥を見せる彼女の様子に少なくとも申し訳なさを感じるゾムだが、好奇心が勝ってしまった為更に前のめりになる。
「漫画家とか、何かそういう系目指してるんか？」
彼女はもごもごと口を動かし始める。
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抹茶ちよこ(プロフ) - 瑞稀さん» コメントありがとうございます！面白いと言って頂けてとても嬉しいです！これからもどうぞ温かい目で見てやって下さい。ありがとうございます！ (2022年4月17日 12時) (
レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - うわぁ〜〜！！本当に面白いです！！まさかのライバル？！誰なんだ…続きも楽しみにしてます！ (2022年4月15日 0時) (レス) @page39 id: 503fd2a4ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2022年3月14日 15時
