18：増える仲間 ページ18
「おいゾム、お前いつの間に彼女居ったんや？」
眼鏡を光らせる鬱のその問い掛けにゾムは思わず咀嚼していたおにぎりを飲み込み、喉に詰まらせた。そして苦しそうな表情を見せた後、急いでペットボトルの蓋を開けて一気に中身を呷り、胃の中へと落とそうとする。
そんな軽く命の危機に直面している彼に特に心配な様子を見せず、彼の周りにいる友人二人は一様に鬱の言葉に驚きの表情を浮かべていた。「ホンマか⁉︎」とコネシマが屋上の隅まで届くような大声を上げて「おいおい水くせぇじゃねえか？」とシャオロンが
ようやく喉を塞いでいたものが取れて息が出来るようになった彼は大きく深呼吸した。そして軽く咳き込んだ後、隣にギロリと鋭い目付きを向ける。
すまんて。まさか彼が喉を詰まらせるとは想定していなかった鬱は少し申し訳なさそうな顔でそう言った。
「え、大先生、ゾムの彼女知ってんの？」
「お、おう。同じクラスのなあ……」
「はあ⁉︎ お、おい大先生、ち、ちゃう！ Aさんとは、べべ、別にそんな関係、ちゃうってッ‼︎」
え、と鬱が目を丸くする。
「ちゃうの？ やって、なんや知らん間に随分仲良うなってたし、二人で駅前のゲーセン入ってくの見たから、てっきりそうやと思ってたんやけど」
その言葉にゾムは思わず頬を赤らめた。
彼も同じクラスなのだから彼女と話している所を目撃されるのはまあ致し方ない。今まで全く接点のなかった女子と最近やたら話しているから、そういう関係なのかと疑う気持ちも分からなくはない。
が、まさかゲームセンターに遊びに行った姿までも目撃されていたとは完全に予想外だった。
いつかは問い詰められると覚悟していたが、何も今言わなくてもいいじゃないか。ゾムはちらっと鬱とは反対側の方へと目を動かす。するといつもより少し目を輝かせるコネシマと、ニヤニヤと悪い笑みを浮かべるシャオロンの姿が視界に映る。
ゾムは面倒臭そうに深い溜め息を一つ吐いてから説明を始めた。誤解を解きつつ、彼女と仲良くなった経緯を話すと三人は一様に納得したような表情を見せた。
「へえ、Aさんってそんなゲーム上手いんや！ ゾムとほぼ互角やなんて凄いわあ」
鬱のその言葉に二人がうんうんと頷く。小さく感嘆の声を上げる三人の様子にゾムは何だか少し嬉しい気持ちになった。
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抹茶ちよこ(プロフ) - 瑞稀さん» コメントありがとうございます！面白いと言って頂けてとても嬉しいです！これからもどうぞ温かい目で見てやって下さい。ありがとうございます！ (2022年4月17日 12時) (
レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - うわぁ〜〜！！本当に面白いです！！まさかのライバル？！誰なんだ…続きも楽しみにしてます！ (2022年4月15日 0時) (レス) @page39 id: 503fd2a4ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2022年3月14日 15時
