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○二人はそんな人混みを避けつつ駅の方へと歩いていく。両腕を空へ突き上げるゾムの姿をAが笑いながら見上げる。どちらの顔にも満足そうな色が浮かんでいた。
「鳥井君、今日はホントにありがとね。誰かとゲーセンで遊ぶの久し振りだったから凄く楽しかった」
「ん? なんや、他に遊ぶ奴とか居らんの?」
「え、あ、う、うん……。友達、あんまり居ないし、皆そんなにゲーム興味ないから。だから鳥井君みたいな人が友達になってくれて、その、凄く嬉しいと言うか……」
共通の趣味を持つ友達が居るのって良いね。彼女はそう照れ臭そうに笑った。それを見てゾムも何だか嬉しく思い、気恥ずかしさも感じて微かに頬を赤くする。何だろう、こう知り合ったばかりの人と仲を深めていくこの感じ。久しく忘れていたような気がする。
それと同時に楽しんでくれたことに心底安心した。
「そか、そんなら誘って良かったわ。てか寧ろ俺の我儘に付き合ってくれてホンマありがとな」
第一目標としての彼女の腕前を見せて貰えて、かつ楽しい時間も過ごさせて貰った。彼にとって非常に有意義な時間だった。
だが、正直に言えばまだ足りない。もっともっと彼女と遊んでいたかった。これ程白熱した戦いを繰り広げたのは久し振りで、まだこの熱が冷めやらないのだ。
一度燃え上がった炎を胸の中で燻らせる彼が次を願うのは至極当然なことで。
「なあ、次は一緒にヴァーテやらへん?」
え、と彼女の目が見開く。
互いに今現在ハマって、熱を入れているゲームならもっと楽しめて面白いのでは。勿論彼女の実力も知りたいのもあるが、きっと期待以上のものを得られるのではないかとそう感じたのだ。
「いやもうAさんとやったら絶対楽しいて思うし、俺あれからあの武器ちょっと練習してるんやけど、何かこれでええんかよく分からんくて。せやから見て欲しい、て言うか教えて欲しいねんな」
どうだろうか。そう理由を紡いだ彼をAは相変わらず驚いた表情で見つめている。
一瞬だけ途切れる会話。周りの喧騒だけが流れる中、彼女の唇が動いた。
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抹茶ちよこ(プロフ) - 瑞稀さん» コメントありがとうございます!面白いと言って頂けてとても嬉しいです!これからもどうぞ温かい目で見てやって下さい。ありがとうございます! (2022年4月17日 12時) (レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - うわぁ〜〜!!本当に面白いです!!まさかのライバル?!誰なんだ…続きも楽しみにしてます! (2022年4月15日 0時) (レス) @page39 id: 503fd2a4ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:抹茶ちよこ | 作成日時:2022年3月14日 15時