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足、足が動かない……
どうしよう、嫌われた、呆れられた、ガッカリされた、失望された、
普通に、普通にしないと______
____普通に________……
その時、バシンッと勢いのいい叩く音が鳴った。
Aは自分の背中が叩かれたのだと、数秒後気がつく。
「A、しっかり」
百合に叩かれたんだ。
ふっと我に返った。
「A、追いなよ」
『………で、でも私爆豪くんのこと怒らせ…』
Aの言葉を遮るように、百合は正面からAの肩に手を乗せた。
「しっかり」
そして優しく、強く言ってくれる。
Aは肩の力を抜く。
「私に言った時みたいに爆豪くんにも言いに行きなよ」
『………っ、でも』
「私は無関係かもしれないけど、………爆豪くんがくれた言葉を信じなくてどうすんの？」
___………うん、そうだよね。
誰かがどうこう言う言葉より、爆豪くんがくれた言葉を大事にしないと。
大事にしよう。
爆豪くんのくれた言葉を大事にしないと。
『ごめん、百合、ありがとう』
Aが既になくなった爆豪の背中を目指して走り出した。
「Aちゃ___」
そんなAの後ろ姿を追おうと透目が手を前に出す。
しかし、そんな彼の前にすらりと長く、白い、手が現れる。
「アンタがAを追う資格は無い」
百合の顔はいつになく真剣で、これから目の前の相手と勝負事をするかのようだった。
「ねぇ、話しようよ。
爽やか王子の柳透目サン？」
百合の目の奥には透目がしっかりと映っていた。
こんなにイライラしてんのはテメェのせいだろ
お前が俺に頼らないから
頼れつってんのに
俺以外に求めんじゃねぇ
お前が本当に必要としてんのは誰だ。
確信が欲しい。
お前には俺が必要だろ。
爆豪が長い足を運びながら悶々と心の中で思う。
そんな風に笑うのは俺の前だけにしろ。
他の男の名前なんか呼ぶんじゃねぇ。
『______くん___！』
幻聴まで聞こえてきた。
いつかいなくなるんなら、
とっとと消えろ。
『爆豪くん！！！』
幻聴ではないと分かり、爆豪が振り向く。
勢い余って、何者かが爆豪の胸にダイブした。
冬だというのに汗をかいていて、汗のせいで髪がべっとりと張り付いている。
爆豪の両腕を掴んだAが、
『話そう！！！』
大声で叫んだ。
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作者名：おにぎり。
| 作成日時：2021年10月23日 11時
