□最終日 ページ42
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最終日。
やってきたのは「日本新三大夜景」にも登録された景色が楽しめるロープウェイ。
まぁ、夜景ではないのだがそれでも景色は圧巻らしい。
「360°札幌が見れた！」
と前のクラスの者たちが口々に言う。
Aとて、事件が無事に解決し安堵からわくわくしていた。
しかし、そんなAの安心を遮るものがまだいた。
「Aちゃん」
トイレの帰り道、自分の名前を呼ばれ、振り向く。
と、
『どぁっ！？』
人という名の壁にぶち当たった。
『ごめっ！』
「あはは、えーねん、急に呼び止めたのが悪かったわ」
透目とぶつかった。
鼻が少しじんじんする。
Aが落とした荷物をポケットに入れた。
その様子をじっと透目が見つめる。
「なんか顔色ええね？」
『………透目くんが忠告してくれたお陰で解決した！』
「そっかぁ、よかったわぁ」
たわいもない話をしていると、
アナウンスが入った。
内容は透目のクラスがロープウェイに乗るとの放送。
「じゃあ、俺もう行くから」
『あっ、うん』
「またね、Aちゃん」
透目が見えなくなるのを確認して、Aは百合の元へ戻った。
「A遅〜い！」
『ごめんごめん』
百合が頬を膨らませ言う。
「私たち次だよ！楽しみだねぇ」
『ね！』
空いているベンチで一休みしようと座る百合に続いてAも座った。
その時。
カサっとポケットから音がした。
『……なんだろ、これ』
ポケットから取り出して百合と見つめる。
「チケット？…でも私たちが乗るのと時間違くない？」
百合の言葉にAの中で全てがつながった。
『これ……！透目くんのだ！』
Aは立ち上がる。
百合はどういった事情でなったのかも知らずに驚いたが、それよりもAの力になろうと、
「探すよ」
そう一言だけ言ってくれた。
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作者名：おにぎり。
| 作成日時：2021年10月23日 11時
