□後夜祭 ページ18
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ようやく順番が回ってきて、係の人から懐中電灯を受け取る。
「…すみません、2人1組で通しているので順番を…」
「…2人」
『一組』
しかし透目は気にするそぶりもなく、
「行こか、Aちゃん」
Aの手を取った。
『え』
ぎょっとする。
そんな透目に対する爆豪の眼差しは氷点に達していた。
「誰の許可を得て行こうとしてんだ？」
___ひっ。
思わず身が引く。
「ええやん、どうせもうちょいの辛抱なんやし、2人にさせてや」
「嫌に決まってんだろ」
「まぁ、後ろもつっかえてるし、Aちゃん借りるな〜！」
「オイ、待てやゴラァ！」
逃げるように入り口のカーテンをめくって入った。
爆豪が係の者に止められる。
それでも周りはポッと顔を赤く染めるのだから本当に意味がわからない。
暗い。
一言で表すとそうなる。
懐中電灯の光だけが頼りだ。
「ごめんな、Aちゃん何度も」
『いや、いいよ』
疲れたが何度もあることで慣れた。
「お化け屋敷であんまこんな話したくないんやけど時間ないから堪忍な」
『………こんな話？』
「…俺本気やからな？」
『……え』
「Aちゃんのこと」
____これは告白だろうか。
多分そうだろう。
「好きやからな」
そうだった。
遊びではないと思っているが、人からこんな熱い眼差しを向けられるのは初めてだ。
受けるのか、
断るのか。
どうしたらいいのか。
考えがまとまらない。
気持ちは嬉しいが前に出れない。
「Aちゃん、後夜祭は出んの？」
『え、…あーうん。』
辿々しい。
「なら俺と一緒に出てくれへん？玄関前で待ってるから」
『えっ、あ、あの…』
一歩踏み出す。
「Aちゃん」
「そこ足とられるで？」
『えっ…きゃああああ！？』
足が沈んだ。
透目がイタズラっぽく笑う。
「思ったより長かったな〜」
透目が出口のカーテンを捲り、係の人に懐中電灯を渡す。
「シフトやから、もう行くな？」
『えっ、あ、うん』
「玄関で待ってるから」
いつもの人懐っこい笑みをして走って行った。
______ずる。
その時。
「ハッ、余裕だ」
「はやいって」
息切れをする爆豪と百合の姿。
『2人とも！？』
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作者名：おにぎり。
| 作成日時：2021年10月23日 11時
