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一方、取り残された2人。
「クソが！！」
「……行っちゃったね…」
謎の沈黙が流れる。
思うと、こういう形で2人きりになったことはない。
「…ど、どっか回る？」
百合が尋ねる。
「…探す」
爆豪はAしか眼中にないようだった。
「Aさ、ネックレスいっつも付けてんだよ？よっぽど好きなんだね〜爆豪くんのこと」
だとだとしく不自然に話す。
話す内容が見つからず、咄嗟にAな話をする。
「テメェがアイツの趣味俺に教えたからだろうが」
ケッと床を蹴る爆豪。
百合は思わず目を見開く。
「えー？それって私のおかげって言ってる？」
「そう言ってんだろうが！」
爆豪がそっぽを向く。
固まる百合だが、すぐに解凍される。
「アイツが喜んだり、楽しんだりしてンなら俺ァいいんだよ」
___ああ、この人本当にAのこと。
察せた。
心臓がキュッとなる。
____もう、言ったほうが楽なのかも。
「あ…あのね、私…爆豪くんのこと」
百合が口を開く。
と、その時。
「急げ！」
「ミスコン遅れるー！！」
中学生の男子グループが走ってくる。
そのまま爆豪に衝突しらドミノが倒れるように百合にぶつかり、百合が倒れる。
「おい待てや、クソガキ！！！」
「痛た…」
周りから見れば座って壁ドンをしている状態の2人。
百合の声で爆豪は怒鳴り散らかすのを停止する。
「ヒールが…」
衣装として履いていたヒールがぽっきり折れ、足を挫いたようだった。
「……乗れ」
「へっ？」
爆豪が背を向ける。
どうやらおんぶをしてくれるみたいだった。
「いやいや！いいよ！歩ける！」
「どー見ても腫れてんだろうが」
「大丈夫だって！彼女の友人にそこまでしなくても」
「…はぁ？人助けだろうが？つべこべ言ってねーで乗れや！」
「……っ！」
行き場のない喜びと申し訳なさが一緒になってぐちゃぐちゃになる。
「じゃあ…」
百合がよいしょと立ち上がり、爆豪の背中に身を委ねる。
彼の背中は広かった。
暖かかった。
勉強も運動も出来て、でも暴言が酷くて…色んな人から色々言われてるけど、私は___
私は__________
きゃあ！と悲鳴が聞こえるを野次馬が広がる。
それは……
校内全体に行き渡るくらい広がって行った。
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作者名：おにぎり。
| 作成日時：2021年10月23日 11時
