そして私はまた、最低な朝を迎える (ページ39)

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長尾「今度の土曜12時に駅前で待ってる」

「行かなかったら…？」

長尾「来るまでずっと待ってる」

行くべきじゃない、
そんなの考えなくたって分かる。もし道枝くんが知ったら？絶対悲しむし、そんな事したくない。

でも長尾くんの「これで最後だから」という言葉が呪文みたいに頭に響いて、
これで最後なら…と思ってしまった私がいて

約束の日、彼が待つ駅まで足を運んでいたのは
言うまでもなかった———

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長尾「来てくれると思った」

「最後、なんでしょ？」

長尾「…せやね。だから今日"だけ"俺の恋人な」

「えっ…？」

長尾「こっち」

そのまま何故かバッグを引っ張られて
近くに停めていた車まで連れてかれる

「車…？運転するの？」

長尾「せやで。先輩は助手席」

「あ、、うん。」

長尾「今日は行きたいとこ盛り沢山やから、ちゃんと付き合ってな？」

そう言って長尾くんは本当に色んな場所に車を走らせて、水族館、川釣り、ちょっと休憩してふらっと洋服を見たりもして。その時に気に入ったからとキャップを１つ購入して直ぐに被ってご機嫌な様子

「(普通にデートだ、これ…)」

そんな事を考えながら運転する長尾くんの横顔をじっと見ていたら「そんな見られたら照れるやろ」って笑っていた

あれ…何だろ、この感覚…

長尾「次は海行こかなって。着く頃にはきっと夕焼けが綺麗やと思うから」

「海、好きなの…？」

長尾「だって海ってすごない？世界と繋がってるんやで。そう考えただけでワクワクするやん」

「確かに。ワクワクするかも」

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そんななんて事ない会話が続いて、海に着いた時には
本当に綺麗な夕焼けが広がっていた

「綺麗〜！！！」

長尾「絶景やろ？見せたかってん」

「私に…？」

長尾「そう、一緒に、来たかった」

「･･････」

長尾「手、繋いでもええ？」

「ダメって言っても繋ぐんでしょ」

長尾「繋がへんよ。もう、許可無しには触れんから」

そういって目の前に手が差し出される。
あの時と同じ。
私に選択肢を与えてまるで試してるみたい…

今日で最後。最後だから…

自分に言い聞かせてゆっくり手を重ねると
そのまま優しくぎゅっと握られる。

顔を見上げれば少し驚いた表情をして、
でもすぐにはにかんで笑った長尾くんは
そのまま真っ直ぐ前を向いた

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