そして私はまた、最低な朝を迎える (ページ36)

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———『"泣かせるんやったら俺にA先輩の隣譲ってください"って。』

『"早くA先輩と別れてくれませんか"って。』———

和也の口から聞いた長尾くんの言葉たちが
繰り返し頭に響いていた

「どうして、そんなこと…」

昨日のことがフラッシュバックする———

「長、尾く…」

長尾「･･･っ、泣かんで…」

「じゃ、やめ、て…」

長尾「出来ひん…俺にはこれしか…」

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思い出せば思い出すほど
長尾くんはずっと表情を歪めていた…
本当はあんなこと、1番したくなかったのは長尾くんだったのに、私があまりに気付かなすぎて…傷つけてたんだ…

何もかもが嫌になる———
私って、誰かを傷つけることしかできないのかな。

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——ピンポーン

静かな部屋にインターホンが鳴り響いた

「何か、荷物頼んでたっけ…」

ゆっくりまだ重い身体を起こしてモニターに視線を移す

「！？！」

「な、なんで…？どうして…」

そこには道枝くんが俯いた表情で立っていた

きっと今の私は酷い顔をしてると思うし、
合わせる顔もない、
でも、このまま避け続けていいわけもない…

私は恐る恐る扉を開いた———

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扉の隙間から目が合った道枝くんは
ハッとした表情をして、慌てて扉に手を掛けた

道枝「･･･！」

「ごめっ…」

とにかく謝ろう。そう思い口を開いた次の瞬間、気付けば私はすっぽり道枝くんの腕の中に包まれていた———

道枝「良かったっ……」

「ごめんね、連絡、できなくて…」

何で私が返事を返さなかったのかとか、
色々聞きたいことはあるだろうに、何も聞かずにいてくれるのは優しさなのか。
それとも、聞きたくないのかどっちなんだろう…

「何も…聞かないんだね」

道枝「言いたくないって顔してるやないですか。」

「…ほんと優しいね。」

道枝「でも、１つだけ聞きたいです」

「なに…？」

道枝「話…あの日話したいことあるって言うてましたよね」

「あっ…うん、そうだよね…」

あの日、言おうとしていたはずの言葉が詰まった。
本当に伝えていいのだろうか。
伝える権利、私にあるのだろうか…

迷いで視線が揺らぐ、
その表情を見て不安そうにする道枝くんを見て切なくなった

「あのね‥‥私‥‥」

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