そして私はまた、最低な朝を迎える (ページ3)

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「は、初めまして、山田Aと申します。本日からお世話になります。初日からこんな格好ですみません。人生で最大レベルに盛大にコケまして･･･」

同期におんぶされながら出社したかと思えば
ヒールは片方折れて、膝から血を流し最悪のビジュアル
もう穴があったら入りたいとはこの事。

だけど隠れるわけにはいかないので
そこから細々とさっきまでの出来事を話すと、さっきまで鎮まりかえっていた社内が一気に笑いに包まれた

　

上司①「あ〜っごめんごめん、笑ったら失礼だよな(笑)それは大変だったなぁ〜！取り敢えず山田さんこっち座りな？」

上司②「はじめ大橋くん普通に挨拶してるから背中に見えちゃいけないもの見えてるのかと思ったよ〜笑」

上司や同僚たちは思いの外明るい人達ばかりで、私達？のことを笑って受け入れてくれた。いや、むしろ笑いすぎ。

こんな形で、出社初日に失態をかました山田A。
何とか無事に社会人の仲間入りが出来ました。

『A、これからよろしくなぁ？』

お互いに今名前を知ったばかりなのにもう馴れ馴れしくしたの名前で呼んできた大橋くんはこれでもかってくらいにニコニコの笑顔でこっちを向いている

「大橋くん、本当にありがとうね。宜しく」

これが私達の出会いであり、はじまり。

それから数ヶ月後。
驚くこともない程にごく自然に、ずっと前から決まっていた事かのように彼に惹かれていった私。

それを大橋くんも分かっていて『A、俺のこと好きやろ？』って当たり前のように言ってくる
でも私も素直じゃないから「何言ってるの」とか「いいから仕事して！」とかでずっと誤魔化してきた

でもある日、
大橋くんが別の部署の女の子から告白されたらしいという噂が広まった

『なあA？」

「んー？」

『俺、〇〇さんから付き合ってって言われてん』

「し、知ってる･･･皆噂してた」

『Aはええの？俺が〇〇さんと付き合っても』

普段の私ならなんてことない事を答えて、むしろ付き合っちゃえばくらい言ってしまってたかもしれない

でもこの時は、この時だけは
本当の気持ちを言わないと後悔する気がした

「いや、だ…」

振り絞って答えた私に大橋くんは満足げな表情をする。

『やーっと言ったな？』

ニヤリと笑った大橋くんは
躊躇なくあっさり私の唇を奪っていった

同期から恋人に。
私たちの関係が前に進んだ瞬間だった。

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