そして私はまた、最低な朝を迎える (ページ19)

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あの日、道枝くんと出会った受付を通り過ぎ、
一緒にエントランスを抜ける——

「え？ラーメン？ラーメンで良いの？」

道枝「はい！あっ、A先輩ってラーメン屋とか行かないですか？」

「え、待って、そんな風に見える？ラーメン屋さんくらい行くよ〜笑『･･･A？』

道枝「あっ」

「え？」

聞き慣れた声に呼ばれ、道枝くんに向けていた視線をそちらに向ける

「和也･･･？ど、うしたの？」

『遅くなる言うてたから、やっぱり心配やなぁって迎えに来たんやけど…え？2人？』

「･･･私が鈍臭くて、道枝くん手伝ってくれてたの。」

『俺呼んだら良かったやん…？』

あ、多分怒ってる—･･･
そう感じて少し怖くなり言葉が詰まる

道枝「大橋先輩」

『何？』

道枝「A先輩、大橋先輩に手伝ってもらおうかずっと悩んでましたよ。でも今日外回りで疲れてるだろうしなぁって、何回もスマホと睨めっこして。んで、たまたま僕通りかかって、暇だったんで手伝っただけなんで」

『･･･そうなん？』

「あ、うん…最近和也疲れてそうだったし…」

道枝「やから、そんな怖い顔せんでください。じゃ、俺帰りあっちなんで。お疲れ様です」

道枝くんはそのまま振り向くことなく去っていった
淡々と喋って行ってしまったけど、私には彼が怒っているようにも感じて、少し心配になった

『みっちーは嘘つくん上手いなぁ、』

「え･･･？」

『Aは基本的に誰かに頼ろうとせんから、俺に手伝って貰おうなんて考えるわけないんよなぁ、残念ながら』

「･･･」

『Aも嘘つくとやたら髪触るしなぁ』

そう言って私の髪に触れた和也はもう怒った様子は無かった。

『帰ろか。どっちがい？』

左に行けば和也の家。右に行けば私の家。
こういう時に私に選択を委ねるところがまた敵わないところだったりする。私がどっちを選ぶかなんて、きっと分かってるくせに。

「あっち」

『ん、了解。』

ぎゅっと手を握って、もう歩き慣れた道を何も発することなく進んでいく———

家に入れば糸が切れたみたいに求められて、もちろん拒むことなんてなくて、でも自分の中では色んな感情がぶつかり合っていた

もちろん好きという感情は前提で、
でもそれ以上に感じる違う気持ちに不安になる

———『Aは俺じゃなきゃダメやからな』

その言葉にいつまで縛られてるんだろう？

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