好き ページ15
『此処が不届者の居ると言う港らしいね。』
辺りを見回せば夜故に暗く、遠くにある酒場と思わしき場所は遠くにいるラードルとマルフィの耳にも届く程盛り上がっていた。
「…早く終わらせて帰りたいですわ…」
『…おや、どうしてだい？』
「こんな酔っ払いの声が私の魔力に貯蔵される、と言う事を考えただけで反吐が出そうですもの。」
あぁ、嫌だ嫌だ、と言うように本で口元を隠し嫌そうに眉を顰めるラードルにマルフィは毎度の如く美しい…と思うばかりだ。
❏
「…どうやら、此処がアジトらしいですわね。」
『そうだねぇ…でも真逆、こんな早くに見つかるとは…相手は中々此方を舐めているようだ。』
全く、私達ヴィランを舐めるだなんて…相当自身が有られるのね、と言い扉を蹴破ったラードルにマルフィは口元をニヤリと上げた。
「な、何だお前ら…!!」
「…貴方方が陥れようとするヴィラン側の者ですわ、以後お見知り置きを…と、言いたい所ですけれど、皆様とは此れで会うこともないと思いますので挨拶は無しとさせて頂きますわね?」
首を傾げニコリと微笑むラードルに何だと…!!と、拳や凶器を振り上げ向かってくる男達にマルフィが守ろうとした瞬間ラードルはパン！と音を立てて本を閉じるとラードルに近付いた者はバタバタと倒れていた。
「…全く、私達二人で来なくても良さそうな程に弱い方々ばかりで…何だか私達ヴィランを小馬鹿にされているようでとても不愉快極まりないですわ……。」
カツカツとショートブーツを鳴らしながら歩き主犯格と思わしき人物を見下すラードルにマルフィは恍惚とした表情を鏡で隠しながらも目元は見えている為とても笑顔だということが分かった。
❏
『ラードル、此の不届者を悲鳴吸引器に有る部屋に送り込んだら私と何処かデートに行かないかい？』
「…遠慮致しますわ。」
『なら一緒に御茶で「私、ハーデスと御茶をする約束をしていますの。」…そうかい、なら今度デートしよう。』
「………はぁ……私が貴方とデートに行くのを承諾すると思っておりまして？」
『あぁ、何てったって君は世にいうツンデレらしいからねぇ。』
「……訳の分からない事を仰るのは止めて下さいまし。」
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作者名：たにしちゃ | 作成日時：2022年12月15日 20時
