46話 ページ47
霊力を認識？ 張り巡らせる……
やり方がよく分からない。
頭の中であれこれ想像を重ねていると、和泉守様が両手を上に上げた。
「……こうやって両手を上に上げて、そこから光の線が出ていると想像できるか」
僕は和泉守様の真似をして両手を上に向かって伸ばす。
「こうですか？」
「そうだ。その光の線をどんどん伸ばしていって、一期達の気配を探ってみてくれ」
「気配、ですか？」
「ああ。探り当てられたら一期達の声が聞こえてくるはずだ」
僕は目を閉じて、意識を手の先に集めた。
手の先から出た糸は、崖下へと伸びていく。
黒いもやを何度も貫いて、暗闇の中に光る光を見つけた。
光に触れると、聞き覚えがある声が脳内に伝わってくる。
ーー主君、どこにいますか！
ーー主殿！
「……聞こえました」
呟くと、糸がぷちんとハサミで切られたかのように裁ち切れた。
「場所は分かるか？」
和泉守様は僕に目線を合わせた。
「あの黒いもやの中です」
谷底を指で指し示す。
谷底には底がしれない深い闇が漂っている。
和泉守様は谷底をじっと見つめて固まっていたが、ふと顔を上げて僕を見つめた。
「……飛び込むしかねぇな」
和泉守様の呟いた言葉は、僕の耳に当たって弾けた。和泉守様の考えが僕の脳内を掠める。
まさか、と僕は眉を寄せた。
「ここからですか？」
体が地面から浮く。
びっくりして手足を動かすと、風で舞う浅葱色が視界に入ってきた。
僕は、和泉守様に抱えられているのだろう。
和泉守様は瞳を優しげに細めて、笑い始めた。
「笑い事じゃないですよ」
僕が和泉守様を睨みつけても、和泉守様の笑いは引き続いていた。
「……主は、童なんだな」
「え？」
頭の上に手を置かれて、宥めるように撫でられる。
僕は脳内で疑問符を浮かべる。
和泉守様の遠くまで響くような声で、我に帰った。
「行くぞ！ 口は閉じておけよ、主」
和泉守様は、僕を抱えている腕に力をかけた。
たん、と地面を蹴り、崖下を目指して飛び降りる。
辺りの景色はじわじわと黒色に覆い尽くされていった。
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 127人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：うたた寝する三毛猫 | 作成日時：2022年3月9日 11時
