離れに住む刀剣男士達 (ページ34)

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33話ページ34

堀川は、空中に縄で吊られていたようなものだ。その縄が切れた。堀川の体は床に向かって落ち始めた。

「危ねぇ！」

それに気がついた和泉守は、咄嗟に両手を伸ばす。堀川はそこに真っ直ぐ落ちてきた。
腕に鉛を抱えたかのような重みがのしかかる。なんてことはない。和泉守の鍛え上げられた体が軽々と堀川を抱きとめた。

「国広！おい、国広！」

和泉守の呼びかけに応えるように堀川が薄らと瞼を開いた。和泉守はほっと息を吐いた。堀川が和泉守を見つめる。だが、意識がまだぼんやりとしているのか、目の焦点が少し横にずれていた。
和泉守は眉を下げた。諌めるように口を開く。

「おい、無理するなって……」

いきなり、堀川が和泉守の腕の中でもがいた。和泉守はびっくりして腕を離した。堀川は地面に足をつけると、叫びを上げた。

「こんなことをしている場合じゃないんだよ、兼さん！」

刀を手に握りしめて、堀川が走り出す。
和泉守は、堀川が部屋の奥に消えるまでその場で立ち尽くしていた。ここでやっと我を取り戻し、堀川の後を追った。

「慎重に行けつっただろうが！」

和泉守は乱暴な言葉を叫びながら走る。焦りがにじんでいた。堀川が心配でたまらないのだろう。

「待て、国広」

和泉守は、立ち止まった堀川の肩を掴んだ。そのまま下を向いて息を整える。
堀川が目を見開いて、振り向いた。

「兼、さん……」

堀川は、震える声で部屋の奥を指で指し示した。
和泉守はその場から動けなくなった。
堀川と和泉守の視線の先には、小さな子供が床に倒れ伏していた。
子供の周りには刀が四本散らばっていた。