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2話 ページ3

男性が去った後、僕はすぐさま近くの生垣の後ろに身を潜めた。
あの男性のように、誰にいつ襲われるか分かったものでは無い。
ここは、それくらい危険な場所だ。

僕は、生垣の後ろで座り込んだ。
長い距離を歩いたおかげで、足が棒のようになってしまった。
暫くは動けそうにない。

「暇ですね……」

先程男性から渡されたタブレットに電源を入れた。
充電が切れていないか心配だったが、すぐに画面がパッと表示された。

「刀帳?」

画面の真ん中辺りに表示されたアプリを、画面越しに指で触った。
アプリの背景には、本のようなイラストが書かれていた。
アプリが開かれると、見目麗しい男性や少年が描かれていた。
その中に、先程出会った男性を見つけた。

「三日月宗近……自称じじいの平安刀」

簡潔に記された文章から、「確かにじじいと言っていたような」と納得した。
平安時代生まれなら、じじいと言うのも分かるような気がした。

僕は、刀帳に一通り目を通した。
その上でとある疑問を抱いた。

「この黒く塗り潰されているのは一体…」

「85番」と書かれた部分だけが、墨をぶちまけたかのように黒く染まっていた。




「……そこに誰かいるのか」

しまった。タブレットに気を取られて、周りに気を配れていなかった。
僕が座り込んでいる生垣の近くで、知らない男性の声がした。
冷や汗をかきながら、息を潜める。心臓が激しく脈打っていた。


暫くじっとしていると、足音が遠ざかって行った。
僕は、どうやら誤魔化せたようだと、一息ついた。
地面に手をついて立ち上がった。まだ足には疲れが残っていたが、お構いなしに動かした。
ここにはもう、留まれない。
なぜなら、今しがた去っていった男性のように、見つかりそうになってしまうかもしれないからだ。


「貴方が新しい審神者ですかな」

動けば、留まっていた時よりも目立ってしまう可能性があるのだと。
少し前の僕が、気付くべきだったのだ。

僕は、すくみ上がりそうなくらいに恐ろしい程の殺気を放つ男性から、逃げるように走り出した。

そして、僕は見事に、殺気を放つ男性の策略に嵌ってしまった。



行き止まりへと、追い込まれてしまったのだ。

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作者名:うたた寝する三毛猫 | 作成日時:2022年3月9日 11時

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