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18話 ※血についての描写があります。 ページ19

「……ちと待て。移動しながら話そうではないか」

三日月は、支えていた一期を背負った。
一期の身長は三日月よりも少し低い。
とはいえ、一期の体格はがっしりとしている。
おそらく、三日月にはかなりの負担がかかっている筈だ。

「すごいです」

秋田は、目を輝かせた。
三日月が眉を苦痛からひそめていなかったからだ。
むしろ、三日月はのしかかっている負担を、ものともしていなかったように見えた。

「行こうか、離れへ」

「はい!」

三日月は、一歩の幅を少しだけ長くして歩いた。
おそらく、顔には出ていなくとも負担はかかっているのだろう。
秋田は、三日月の歩幅に合わせてゆっくりと歩いた。



↓ここから血についての描写が入ります。

離れはもう、二振りの目には見えていた。
あともう少しだ。二振りは顔を見合わせた。
秋田が離れに入ろうと、扉に手をかけた時だった。

「主さん!」

堀川の叫び声が扉を揺らした。
秋田は、勢いよく扉を開けた。血の匂いが鼻をついた。
後ろで様子を窺っていた三日月もそれに気がついたのか、眉を顰めた。

「これは……酷いです」

目の前には少しだけ破けた障子があり、秋田が中を覗いていた。
しかし、すぐに秋田は障子から目を背けてしまった。
秋田の反応からして、中の状況は思わしくないのだろう。
三日月の頭の中を、最悪な状況がよぎった。

「秋田よ、一期を頼んでもよいか」

「わかりました」

三日月は一期を壁にもたれさせた。
秋田が返事をしたのを確認すると、腰の刀に手を伸ばした。
秋田は一期の側についたまま、動かなかった。

「いち兄を、お守りします」

「あいわかった」

三日月は、短い返事を返すと障子を勢いよく開いた。
血の匂いが強くなった。


「……三日月宗近。何しにきたの」

「ほう、おぬしは大和守か?」

鋭くて、冷たい声だった。
三日月の瞳には、暗い瞳を此方に向ける大和守が映っていた。
呑気な口調とは裏腹に、三日月は刀を鞘から抜いて構えた。
三日月は、大和守が持つ刀に視点を向けた。
その刀身からは、真っ赤な血が滴り落ちていた。

あれは、大和守ではない。

すぐに三日月はそう気がついた。
大和守はそれを見抜いたかのように口を開いた。

「……邪魔をするのなら、君もああなるよ」

大和守は、刀の切っ先を別の方向に向けた。

「どうして来やがった!」

その先には、三日月が想定していた最悪な光景が広がっていた。

19話 ※吐血しているかのような描写があります。→←17話


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作者名:うたた寝する三毛猫 | 作成日時:2022年3月9日 11時

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