□決め台詞化 ページ9
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マフラーを巻いて、ブルゾンのポケットに手を突っ込む。
存在をすっかり忘れてた、ポケットの中のカイロに指が触れてじわっと温まった。
丈一郎「さっむ」
和也「車まだ…？」
大橋くんは隣の丈くんに聞くけど、当たり前に「知らんわ」と返されてる。
うぅん、丈橋♡
打ち合わせ終わりの私たちは、まだエントランスのような所にいて、駐車場に出て様子を見ることに。
丈一郎「どう？」
『来ないね〜』
寒くて動けない丈くんの代わりに、背伸びして車を探す。
つま先立ちのまま少し歩いたら、ツルッと滑った。
『あっ、ちょっ… っぶな』
和也「大丈夫？」
『ん、ちょっと凍ってる。気をつけてね』
丈一郎「お前が１番転けそうやねんけど…」
そんなことないし。
と振り返ると、丈くんは身震いした。
…誰が見ても寒そうで、私はポケットのカイロを丈くんに渡す。
丈一郎「ええの？」
『ええよ』
和也「丈くん、何か書いてあるで」
丈一郎「ん？ … “カイロに回路” 。…は？」
ディレクターさんを待ってる間、暇だった私はそれに回路を書いて、吹き出しで「カイロに回路」と書いておいた。
可愛い猫付きだ。うちの猫。
丈一郎「アカンわ、更に寒なった」
『私、直列回路より並列回路派なんだよね』
丈くんは、「どうでもいいわ」と笑う。
『おわっ』
和也「…ふら、言わんこっちゃない」
…ブーツのせいだ。
大橋くんの腕に収まって、怪我をせずに済む。
「…どういう状況ですか」
ちょうど、マネージャーさんが前に車を停める。
最後まで優しく、「気いつけて」「大丈夫？」と言いながら手を離された。
丈一郎「…ここで決め台詞」
『また “少女漫画展開” かよ！！』
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□先輩だけど、年上だけど→←□あげるものじゃない、貰うものだ
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作者名：悠希 | 作成日時：2024年2月2日 19時
