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恭平side
帰りの車内、まだ感触が残る左手をチラッと見る。
…アカン、繋いでもうた。
なんて余韻に浸る間もなく、朝日南に呼ばれた。
『高橋に報告しておきたいことがあって』
恭平「ん？」
『私、恋愛映画決まった』
真っ直ぐ前を見て、黄昏れ気味に はにかむ彼女。
恭平「え」
『だから、何かあったらこういうの、頼んでもいい？』
恭平「お、あ、うっす」
なんで高橋がキョドってんの。
と笑う朝日南に、恥ずかしくなって笑いが零れる。
やって、実質それって「またデートしよう」ってことで…
『でもまずは、佐野晶哉との撮影頑張る』
一気に現実に引き戻された。
そうやった。
あくまでこれは、晶哉と朝日南のデートの予行練習。
……けど今日１日、相手が “俺” やなくて “晶哉” だと思って接されていたのなら、、
恭平「A、」
『…な、なに？ どうしたの、高橋？』
名前呼びに驚いただろう。
ミラー越しに、キョトンとした顔で俺を見る。
恭平「・・・」
あかん。
これは “メンバー” として頼まれたことなんやから。
勘違いなんてせーへん。
恭平「ん」
赤信号になったタイミングで、彼女の首に光るネックレスを外して、手元の物と着け替える。
彼女はそれを手に乗せて微笑んだ。
『かわいい』
恭平「おん、可愛い。…お揃い」
俺もチェーンを持って、同じくネックレスを見せた。
俺と彼女のネックレスのデザイン、パズルをはめると、「おおっ」と感嘆の声が聞こえた。
恭平「な、記念ってことで、、」
『・・・』
同時にネックレスから視線を上げると、がっちゃりと目が合った。
思った以上に距離が近かったのか、朝日南は慌てて前を向き直る。
『あ、青、だから…』
恭平「…顔赤いで」
『信号の色』
恭平「青やん」
『…うるさ。うるさー！』
一応 “デート” やし、こんくらいええやろ？
キスしやんかっただけ褒めてや。
…なんてな。
『……誕生日、おめでとう』
恭平「ありがとぉー」
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作者名：悠希 | 作成日時：2024年2月2日 19時
