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サングラスを頭にやった高橋は、窓から３メートルの位置で足踏みする。
『一回近づこう』
恭平「…嫌や」
進もうとしない高橋を置いて、窓の側に寄る。
振り返って、手を差し出す。
『おいで』
恭平「・・・」
もう一方の手で、ニヤけてしまう顔を押さえた。
高橋が悩んでる……楽しい。
『うおっ、触んな』
恭平「なんやねん！」
『しいいっ！！！』
高橋が手を取ろうとしたから、その手を咄嗟に引っ込める。
高橋！ 声がデカい！！
「その声のがデカいわ」とツッコまれてしまった。
恭平「デートやないん？」
『くっ…』
目を閉じて私の隣まで来て、窓に背を向けて私を見る。
恭平「手繋いでくれたら、ちゃんと景色見る」
『……じゃあ』
悩んだけど、手じゃなくて高橋の服の裾を掴む。
『これじゃダメ？』
恭平「・・・」
『え、何』
恭平「そっちのが威力強いわぁー」
意味が分からず離そうとすると、その手を掴まれた。
恭平「このままでええから」
『…慣れてやがる』
流れで手を繋がれた。
振りほどくこともできたけど、やらなかったのは、もう私も、雰囲気に呑まれてしまっているからだろう。
高橋は窓に振り向くとゆっくり目を開けた。
恭平「無理ぃ！！」
『うるさっ！』
恭平「わーすごい、高… 景色……うわぁ…」
驚きで手と距離が離れ、高橋は当たり前のように繋ぎ直そうとするから、それは拒む。
シュンとした顔で「なんで…？」と聞かれても、流星くんじゃないんだから、あまり私には効かない。
アハ、流星くんにそれされたら受け入れちゃうかも。
恭平「デート中に、他の男のこと考えたらアカンで」
『…うるさい』
腰を折って下から覗き込まれた高橋の顔から、自然と顔を背ける。
どうやったらそんな少女漫画みたいなセリフが出てくるんだ。
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作者名：悠希 | 作成日時：2024年2月2日 19時
