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凛月からお菓子をもらい、上機嫌で零のもとへ戻る途中、２年生の教室の前でウロウロしている１年生らしき生徒を見かけた。
困っている様子で放っておけない性分のAは、その人物に声をかけた。
『こんにちは』
「あ。貴方は、たしか外部講師の衣更先生ですよね？」
『あら、１年生の子に覚えてもらえてるなんてちょっと嬉しい……♪
そういう君は、『Ra*bits』の紫之創くんだよね？
こないだの『DDD』では、準決勝まで勝ち進んでたし、今後の成長が楽しみな子だなって思ってたんだよね〜』
「現役の音楽プロデューサーさんにそう言って貰えて嬉しいです♪」
『ところで、２年生に何か用事でも？』
Aがそう問いかけると、紫之は困ったように笑みを浮かべる。
「あ、はい。明星先輩に用があるんですけど……
上級生の教室に入るの、少し緊張しちゃって」
『わかるわかる。私も去年まではこの学院の生徒で学生だったから、上級生が怖いって気持ちよくわかるよ〜
じゃあ、怖い先輩がいても私が守ってあげるから、一緒に行こっか』
「いいんですか？ありがとうございますっ！」
笑みを浮かべ嬉しそうにしている紫之を見て、Aは「かわいい〜」と悶絶する。
そして２年Ａ組の教室の扉を開けると、そこにはあんずと羽風がいた。
「あのう。明星先輩はいらっしゃいますか？」
Aの前に立って中を確認しながら呼びかけると、羽風が面倒くさそうな雰囲気を醸しながら近づいてくる。
「明星って『Trickstar』のメンバーだっけ？
ここには俺と転校生ちゃんしかいないから」
「そうですか……、それなら仕方ないですね」
『残念だったね。急ぎの用事なら、うちの弟に連絡してみようか？
たぶん一緒にいるだろうし』
「あ、いえ。また明日にでも改めてみます」
「あれ〜？Aさんもいるじゃん！」
先ほどの態度とは打って変わって、Aを見つけ声を高らかにして近づく羽風。
「なになに？俺のこと、探しに来てくれた感じ？」
『たまたまですよ。それより、なんであんずちゃんと一緒に？』
「あぁ、実はさ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿」
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作者名：もぶピ
| 作成日時：2022年9月14日 1時
