１３７ ページ37
「ちょッ……とりあえず頭あげてヨ」
困惑しつつも、頭をあげるように言うと、Aはその通りに頭をあげ逆先を見つめる。
「っ……もういいヨ。今日のところはもう帰ってくれるかナ？」
『あ、うん。ごめんね』
「なんで謝るノ？一方的に呼び出して手酷く罵ってきた挙げ句、言いたい事だけ言って「帰れ」なんテ……
ボクなら一発くらいぶん殴ってるヨ」
逆先の言葉に苦笑いを浮かべながらAは立ち上がる。
『そんなことしないよ。君は私に謝罪の場をくれたんだもの。
でも、これくらいじゃきっとまだまだ許してもらえないよね』
「……そうだネ。土下座のひとつやふたつされた程度じゃ、納得はできなイ。
でも、誠意は伝わったかラ、これからの君の行動を見させてもらうヨ。
また今度、零にいさんや大事な人達を裏切るような真似をすれば、女性とはいえ容赦しないかラ」
逆先がそう言うと、Aは優しく微笑みながら「うん」と返事を返した。
「ちょっと、なんで笑ってるノ？」
『いや、零ちゃんのことが大好きなんだなって、思って』
Aがそう言うと、逆先は少し顔を赤らめそっぽを向く。
「好きとかそういうのじゃないかラっ！」
『わかってるよ。敬愛してるんだよね？
私もそうだから、君と少しでも仲良くなれるきっかけになるといいんだけど』
「程遠いネ。ほら、さっさと出てってヨ、飼い猫さん」
『う、うん。お邪魔しました〜……』
Aはそう言ってさっさと地下書庫から出て行った。
「……チッ、呼び出して本性を暴いて、零にいさんに近づくなって言ってやろうと思ってたのニ。
あの零にいさんがあそこまで惚れ込むなんて、絶対裏があると思ったんだけド、
結局、ただのお人好しだったってだけなんてネ……人が良すぎるもの考え物だネ。
時間と労力の無駄遣いをしちゃったかナ？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 247人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もぶピ
| 作成日時：2022年9月14日 1時
