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「ボクが聞きたいことは一つダ。
何でここに戻ってきたノ？」
逆先の問いかけに、Aはちゃんと目と目を合わせて返答する。
『それは、この学院を改革するための手助けをしに……』
「今さらになって罪の意識でも芽生えたってコト？
君は昔、あの『皇帝』天祥院英智のもとにいテ、甘言に唆さレ、猫のように喉を鳴らシ、いとも容易く大切だったはずの幼なじみである零にいさんを裏切り見捨てタ。
なのニ、どの面下げて零にいさんの傍に立ってるノ？」
逆先の怒りを全身に浴び、Aは言葉が出なくなる。
充実した日々を送り、忘れかけていた罪悪感が再び頭の中を埋め尽くす。
「……フン、言い返すこともできないノ？
「私は騙されてただけ」「関係ない」「こんなことになるなんて思わなかった」って言えばいいでショ？
なんでさっきから黙ってるのかナ？」
そう言われ、Aはゆっくり口を開いた。
『君の言うとおりだからだよ、逆先くん』
「っ……」
『英智くんに騙されてたとはいえ、零ちゃんの情報を彼に話したのは確かに私。
悪用されるなんて考えるはずもなくて、それが悲劇の始まりだったことも、後戻りが出来ない所でようやく気付いた。
馬鹿だって、愚かだって、お前のせいだって罵声を浴びせられても仕方が無いことをした。
だからこそ、私は一方的であろうと、この夢ノ咲学院を本当の意味で変えたかった。
人に振り回されて、利用されるのが私の人生なのだとしたら、それを利用して戦ってやるってね。
でも、順番を間違えたみたい。
私がしないといけないのは、まずは「これ」だよね』
Aはそう言うと、床に膝をつき、頭を地面にこすりつける勢いで土下座した。
『……ごめんなさい。
君たちの人生を、心を踏みにじるような真似をして、本当にごめんなさいっ』
突然の土下座に、逆先は目を見開いたまま固まってしまった。
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作者名：もぶピ
| 作成日時：2022年9月14日 1時
