僕的生き方

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このままではデビューできない。


そんなことには気がついていた。


自分のためにデビューしたくて仕方ないと、夢を精一杯追いかける他のジャニーズJrたちは、目を覆いたくなるくらい眩しかった。


デビューするためには、スキルを磨く以前に、グループを組む以前に、この仕事を心から愛して、デビューすることを自分の夢だと堂々と思えることが前提。


そんなこととっくに気がついていた。


自分の煌めきが他のジャニーズJrより圧倒的に劣るのは、そこの違いだって。


だからこそ焦った。


もっともっと自分を追い込んで、逃げ道を無くして仕事に没頭すれば、いつかこの道を愛して、デビューすることが自分の夢だと思いこめるようになるんじゃないかって。


でもそんな馬鹿みたいに安っぽい考え方は、母さんにもジャニーさんにもバレバレだったんだと思う。



心配かけてるんだなあ。


俺が辛い思いしてるだろうってさ。


…そんなことないよ。


誰かのために頑張ることだってそれなりにやりがいも感じてるし、楽しい瞬間だって何度もあったよ。


ファンの人は愛しいし、応援の言葉は素直に嬉しい。


だけど。



俺の夢はデビューすることではない。



最初から、この世界に入っときから。


1度も自分のためにデビューしたいと思ったことは、ないんだ。


応援に答えなければいけないと、自慢の息子になりたいと、そう願ってひたすらにもがいてきた。


ただそれだけ。


誰かのためにアイドルで居続けたいと、願っているだけ。



「…ごめんね、あんまりAを追い詰めないでやってよって言ってはいるんだけどね。
Aがあまりにも素晴らしい仕事をするものだから、オファーも殺到しちゃってるしファンの人もどんどん増えちゃってさ。」



ズルズルと、ジャニーさんがうどんを啜る。



「でもそういうの全部投げ捨ててもいいよ。
Aはまだ子どもなんだから、誰かのために責任をもって生きるなんて大人っぽいことしなくていいんだよ。
酷い大人に無責任だなんて叱られても、気にする必要は無い、子どもだからね。
僕らはもうAには充分過ぎるほどの幸せと夢をもらったつもりさ。
だから、Aがしたいように生きることを尊重するよ。」



自由は、ないと苦しい。


でも、与えられても苦しい。





…俺は、どうしたらいい。





どこを目指して生きていけばいい。



全てが分からなくなった。








"飲みかけ"








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