僕的生き方

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「ねえ、Aくん！」


『…なぁに。』


「お友達はお外で鬼ごっこしてるけど、Aくんは行かなくていいの？」


『…ぼく、おへやでおえかきしてたい。』


「…そっか！
じゃあお絵描きしながらでいいから先生とお話してくれる？」


『…いいよ。』



子どもの頃から、人見知りが激しく内気な性格だった。


保育園ではみんなと外で遊ぶことよりも、部屋の中で1人静かに過ごすことのほうが好きだった。



「あのね、もう少しでAくん6歳のお誕生日でしょ？」


『うん。』


「だからこれ！
思い出ブックを作ろうと思うんだ。」


『おもいで…？』


「そうそう、お写真貼ってどれくらい大きくなったかなーとか色々書くから、完成したらお家の人と見て欲しいの。」


『うん。』


「それでここにね、Aくんの夢を書くところがあるから書いて欲しいの。」


『ゆめ…。』


「なんでもいいよ。
大きくなったら何になりたいとか、今はこれを頑張ってるよ！ってことでもいいかな〜。」


『………おしごとしたい。』


「お仕事か！なんのお仕事？」


『なんでもいい。』


「なんでも、いいの？」


『はやくおとなになっておしごとして、おかねがほしい。
そうしたら、ままがよるもはたらかなくていいでしょ。』


「…そっか、ママのためにお仕事したいんだね…。
Aくんは偉いなあ。」



偉いね、お兄ちゃんだね、しっかりしてるね。


昔から大人にそう言われることが多かった。


俺は望んでそうなりたいと思っていたから、そんな言葉をもらう度に安心していた。


俺がしっかりしていて手のかからない子どもであれば、きっと母は楽になるから。


ただでさえ母は体が丈夫ではなないのに、それでも俺を育てるために昼夜休まず働いてくれている。


俺が生きる。


これ以上の迷惑は、なるべくかけたくなかった。



でも、俺が大人になろうとすればするほど、母も周りの大人も、困ったような寂しい顔をした。



(どうして？)


(いいこにしていたららくになるでしょ？)



今になれば、俺は母にとってとても残酷な息子だったと分かるんだ。








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