Heaven`s gate-天国の門-9/K ページ9
「type-01、ベータ波動10000、15000、20000!!
ダメです!!振り切れました!!!
計測不能です!!」
目の前で繰り広げられる状況に、私は呆然とする。
金属製のドアはまるで紙屑でも丸めたようにくしゃくしゃになって壊れ、二宮に取り付けられた機械類は、面白いように火を噴いている。
天井を這っていた排水用の鉄パイプは折れ曲がって床に転がり、大野が立っている場所から放射状に床がひび割れていく。
「麗子ちゃん見てみな!!
凄い力じゃないか!!
理化研に来て長いけど、あんな能力者は初めて見たよ!!」
喜々として小城はガラスの向こうの大野智を見つめる。
「type-01、完全覚醒です!!」
オペレーターの声が部屋に舞う。
我々は、ニューチルドレンが眠っていた能力を完全な状態で使いこなし、且つそれを自覚を持って使いこなしている状態を『完全覚醒』と呼ぶ。
今、目の前でそら色に瞳を輝かせ、圧倒的な能力を開花させた男が全てを破壊しつくそうとしている。
その男がふいに私達の方を見る。
細く長い指が私達を捉えた。
「全員伏せろ!!!!!!」
小城の怒声が部屋に響き渡り、私は彼に抱きすくめられた。
瞬間、強烈な振動が体に伝わって粉々に砕けたガラスが頭から降り注いだ。
・・・・私は小城の胸の中で震えあがった。
「怪我はない?!麗子ちゃん!!」
ガクガクと震えて力が入らない手で彼の胸元に縋りつく。
「・・・小城さん、あのガラスは・・・。」
「あぁ、対ロケット弾用に開発された強化ガラスだ。
見ろよ。
いとも簡単に粉々だ。」
床に降り積もった粉々のガラスの破片を私は呆然と見つめる。
小城は私を腕に抱いたまま立ち上がり、その瞳に大野を捉えた。
「素晴らしい・・・・。
実に素晴らしい!!
彼は地上のスーパーノヴァ(超新星)だ!!」
淡い青を讃えたまま、こちらを睨む華奢な男を小城は喜々として見つめている。
彼は無言のまま、淡い青でその瞳を染め上げ、もう一度繊細な細い指を私達に伸ばした。
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作者名:あさり | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/a-ground/
作成日時:2012年3月26日 22時