Heaven`s gate-天国の門-6/miss.K ページ6
「type-04、数値に変化なしです。」
ベータ波動の照射を続け、身をよじって苦しむ二宮和也の様子をガラス越しに見つめる。
ここは二宮がいるラボと繋がっていて、全ての計器がここに集約されている。
二宮が発するベータ波動の変動も数値となって現れ、脈拍、心拍数などもデータとしてこの部屋で確認できた。
計器を操作する数名の部下が、私と小城に声を掛けた。
「type−04の血圧が下がってきています。
このままベータ波動の照射を続けると、意識レベルが低下してしまいますがどうしますか?」
ふいにこの部屋に電話の音が響いた。
「おっつ〜、小城だよん♪
どうした?type−01に何か異変があった?」
type−01・・・大野智のことだ。
我々研究者は理化研にいるニューチルドレンを数字で呼ぶことになっている。
研究対象を固有名詞である名前で呼び続けると、情がわいてしまい思うように能力の覚醒や強化が出来なくなるからだ。
能力の覚醒や強化には必ずと言っていい程、苦痛が伴っていた。
「どうしました?小城さん。
type−01が何か?」
「軟禁室から脱走した。
800ミリの鉄製の扉はひしゃげて小さな球体になっていたそうだ。」
軟禁室・・・・分厚い装甲で覆われたニューチルドレンを閉じ込めておくための部屋。
・・・今までこの部屋を自身の能力で破壊した者はいなかった。
「嘘でしょ?
厚さ800ミリですよ?
どうやってそれを小さな球体になんてできるんですか?
地球上であれだけの金属を圧縮なんて出来るわけがない!!」
「太陽よりデカイ恒星が一生を終える時、超新星爆発を起こすじゃない?
核反応を起こしながら内側に潰れて重力崩壊を起こし、限界が来ると一気に外に向かって爆発する・・・。
例えるなら彼の能力ってそれぐらい破壊力があるんじゃない?」
そういいながら小城は声をあげて笑う。
「面白い!!
面白いよね、彼、パーフェクトだよ!!
ねぇ、麗子ちゃん。
これだから人生って面白いよね?」
「その大野君がこっちに向かってるってさ。
阻止に向かった連中、全滅だって。」
「どうやってこの部屋を探すつもりなんでしょうか?」
「わかんない?
二宮君が大野君を呼んでんだよ。
能力者が共鳴しあってる。
上手くいけば2人とも完全覚醒するぞ。」
笑う小城の言葉を聞きながら、私は泣き叫ぶ二宮を呆然と見つめた。
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作者名:あさり | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/a-ground/
作成日時:2012年3月26日 22時