affection-情愛-7/N ページ49
「リーダー・・・
アンタもさっきから感じてるでしょ?
この頭に響いてくる不快な感覚。」
「・・・・・あぁ。」
大野さんは短く返事をすると、額にそっと繊細な指を這わせた。
そう・・・・・・
あの時、あの部屋で直接照射されたのより弱いけど、この部屋に入ってからも、頭に重低音が響いてるような感覚はずっと覚えていた。
「これがさ、ベータ波動っていうらしい。
この波動はニューチルドレンの脳にしか反応しないんだって。
これを受けると能力を覚醒させたり、強化出来るらしいんだ。
それに・・・・。」
「それに?」
「ニューチルドレンも能力を使う時、この波動を発してるって。
・・・確かにね、リーダーが能力を使う時、見えない何かが噴き上がってるように感じたよ。」
オレの言葉に大野さんは何度も頷いた後、改めて言葉を紡いだ。
「・・・最初、アイツらニノを狙ってたじゃない?
どうやってかはわからないけど、ニノのこと嗅ぎつけたんだと思うんだ。」
「うん。」
「でも、どうして?
嵐の記憶を消してまでニノを欲しがったの?
どうやって人の記憶まで操作するかわかんないけど、こんなの国単位での犯罪だよ?
どうしてそこまでしてニューチルドレンを国は欲しがる?」
「・・・戦争とか?
ニューチルドレンを戦争の道具に使うとか?」
「いろんな兵器が世の中に溢れてるのに?
そこまでする必要ある?」
「じゃあ、ニューチルドレンにしか出来ない重要な何かがあるってこと?」
「・・・・ニノ、
ひょとして俺達、とんでもないことに巻き込まれたんじゃないの?」
ふいにプシュって音が響いた。
その音に反応してリーダーから体を離し、目の前の連中に警戒する。
扉だと思われる場所があいて、目の前には数人の白衣の男。
「type−01、type−04、出ろ。」
声と一緒に飛び込んでくるのは
オレ達を『化け物』と蔑む『声』と、怯え。
無遠慮に頭に直接入ってくる目の前の連中の感情に、心がズキンと痛んだ。
「何処連れてくつもり?」
静かに舞うのは
大野さんの艶やかな低音。
「今度は広々とした運動が出来る場所さ。
そこに・・・お前達の仲間も待ってる。」
「仲間?!
翔君達もここにいるのか?!」
「くれば分かる。」
そう促され、オレ達は男達とこの部屋を後にした。
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作者名:あさり | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/a-ground/
作成日時:2012年3月26日 22時