sweet soul 6/S ページ41
『初めまして♪ボクは小城と言います。
ようこそ、理化研へ』
炎に包まれた部屋に聞いたことのない男の声が響いて、おれはビクッと体を震わせた。
「・・・誰?アンタ。
ひょっとしてオレらをこんな目に合わせてる張本人?」
体を震わせたおれの肩を抱いて、相葉君は声に問いかける。
『大当たり♪
キミ、相葉君?
すごいじゃないか、君の発火能力。
ごらん、その部屋炎に包まれてる。』
あたりは火の海で天井まで這いあがった炎が白かったそれを真っ黒に染め変えていて、金属類はどろっと溶けて床にぼたんと重たい滴を落としていた。
さっきまで平気だったおれも、息を吸うたび肺が焼けるような感覚に落ちいっていて呼吸が浅くなっていた。
『ねぇ、隣のtype−02を見てごらんよ。
君の炎のせいで随分息苦しそうだよ?』
「type−02?
・・・翔ちゃんのことか?
翔ちゃんを数字で呼ぶな!!」
相葉君の言葉に小城の笑い声がこだました。
『君達のような化け物に固有名詞で呼ばれるような人権が認められると思う?
type−03隣を見ろよ?!
呼吸が浅くなって恐怖で凍りついたtype−02の顔をな!!』
そう言われた相葉君はおれの顔をじっと見つめる。
はっ、はっ、と浅い呼吸を繰り返し、息苦しさに涙ぐんだおれを見て、彼の顔は見る間に色を失っていった。
『早くなんとかした方がよくない?
type-02の白い肌が熱で真っ赤になってるよ?
君のその炎で、type−02の綺麗な顔を爛れさせるつもり?』
『て、ゆーか。
相葉君、君のその力が櫻井君を殺しちゃうよ?』
そう言われたのと同時、相葉君は自分の体を爪が食い込むほどの力で抱きしめた。
眉間に皺を寄せて苦しそうに体を捩る。
「は・・あぁっ・・くっ!!
ど…しよ、止まんない、炎が止まんない!!」
完全にパニックを起こした相葉君が、真っ青な顔でおれを見つめた。
「オレが翔ちゃんを殺す?
翔ちゃんを殺しちゃうの?
嫌だ…!嫌だ!!
そんなの、嫌だ!!!!」
相葉君はおれの手をとって、自分の首におれの手をかけた。
「翔ちゃん、オレの首締めてよ!!
翔ちゃんをこのまま傷つけるなんて絶対に嫌だ!!
早く!!
ねぇ早く!!」
「落ちつけ!!
しっかりしろ!雅紀!!」
正気を失ったような相葉君を前に
どうすることもできなくて
ただ
目の奥が爛れたように痛かった。
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作者名:あさり | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/a-ground/
作成日時:2012年3月26日 22時