sweet soul 5/K ページ40
「見てみろよ!!
あれが相葉君の能力だ!!
あの子、パイロキネシストだ!!」
喜々とした表情で、目の前の炎に染まった部屋を小城は見つめる。
小城の言葉を聞きながら、私は発火能力者・・・パイロキネシストである相葉の姿を、まじまじと見つめていた。
「意志を持って自分の炎を操っている・・・。
小城さん、相葉雅紀、完全覚醒です。」
能力者が纏うベータ波動の測定器は、すでに限界値を越えけたたましいアラーム音をたてている。
さっき二宮が能力を完全覚醒した時に、図らずも部下を傷つけてしまった我々は、今回の相葉と櫻井については2人で全ての作業を行っていた。
「可愛いねぇ、櫻井君。
彼、けっこうな慎重派なのかな?
綺麗な顔、凍りつかせて震えてる・・・。」
微笑みを浮かべたまま小城は櫻井の様子を伺う。
「まぁ、無理ないか。
普通の生活してる子にとって異常極まりない光景だからね。
ねぇ、麗子ちゃん・・・・。
彼らのコトもう少し苛めちゃってよ?」
「えっ?」
「ホラ・・・女の子は男を口で攻撃するの、得意じゃない。
ちょっと追い詰めちゃって、あの2人・・・。」
小城の言葉に私は声を上げることもできない。
炎に包まれ怯えた櫻井と、それを操る相葉と・・・
何を言えばいいの?
この異様な光景を前に、あの2人に何を言えばいいの?
固まった私を見つめ、一つ大きなため息をつくと小城は言葉を放った。
「君は頭のいい女性だ。
若いのに科学者としてのセンスもいい。
・・・でも、まだお嬢ちゃんだ。」
「どう言う意味ですか?!」
自分を揶揄する言葉に思わずカッとなった。
クスッと含み笑いを浮かべて彼は言葉の先を続ける。
「いいかい?麗子ちゃん。
もっと人と切磋琢磨しろ。
相手が何を考え、何を思い、どう動き、どんな人間か・・・。
それを読めるようになれ。
相手の二歩三歩先を読めるようにするんだ。
どの世界で生きるにしろ、それが君の武器になる。」
そう言うと、ガラスで隔てられた空間に向かって視線を這わす。
「見てろ、こうやって相手を追い詰めてくんだ。
一番言われたらキツイことを並べ立てるんだよ。」
そう言うと、櫻井と相葉のいる部屋に繋がるマイクに向かって、彼は言葉を紡ぎ出した。
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作者名:あさり | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/a-ground/
作成日時:2012年3月26日 22時