spiral-螺旋-5/S ページ21
いつまでも路地裏にいることもできず、おれ達は街を彷徨っていた。
不夜城東京・・・・。
深夜0時をまわったと言うのに、街はこうこうと明かりが灯り、行きかう人々も時を忘れたように浮かれ楽しそうだ。
こんなことなければ何も感じなかった当り前の風景だけど、もう深夜だというのに当然のように昼間のような賑わいを見せるこの街を、おれは酷く不自然に感じた。
ビルに掲げられた大きなモニターには、おれ達の指名手配を告げるニュースが流れ、でかでかと顔写真が映し出されている。
おれ達は何食わぬ顔をしてそれを尻目に黙々と歩く。
おれはキャップを目深にかぶり、相葉君はパーカーのフードで自分の顔を覆って、松潤は眼鏡をかけて俯いたまま、眠ることのないこの街をひたすら彷徨っていた。
進行方向にあった街路樹のところで、スーツを着た男達がこちらをみているのに気がついた。
マズイ・・・・。
心臓が高鳴って、血が逆流するような感覚に襲われる。
何か胸元から手帳を出し、2人で写真を見ながら何度もおれ達の様子を伺っている。
おれは俯いてその2人を足早にスルーしようとした時、2人がおれ達に小走りに近寄ってきた。
俯いたおれに一人の男がぐっと肩を掴んだ。
「ちょっと・・・いいですか?」
「・・・・・・・・。」
自分の足が震えているのが分かる。
「櫻井さん・・・ですよね?
そしてそちらにいるのが、相葉さんに松本さん・・・。
我々は公安の者です。
少しお話を伺いたいのですが、御同行願えますか?」
おれは考えるより早く、肩を掴んでいた男を思いっきり突き飛ばした。
近くにあったゴミ籠を松潤が蹴り倒し、相葉君がおれの手を掴んで走り出す。
「翔ちゃん、逃げるよ!!」
走り出したおれ達に、公安を名乗った背後の男達の声が聞こえる。
「内調の奴らにも連絡しろ!!
櫻井、相葉、潤を発見した!!
B方面に逃走中だ!!こっちに人員を集めろ!!」
内調・・・・
内閣情報調査室かよ・・・・。
男の叫びに含まれた単語に、おれはさっきの自分の考えが正しかったことを確信した・・・。
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作者名:あさり | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/a-ground/
作成日時:2012年3月26日 22時